講演情報

[p-091]ひとり親家庭で育った大学生の家庭展望の実態と影響要因

*渡辺 朗生1、今川 真治2 (1. 宇都宮大学、2. 元広島大学)

キーワード:

未来の家庭展望、大学生、ひとり親家庭

目的 本研究では,ひとり親家庭で育った大学生の家庭展望の実態とそれに対する影響要因を明らかにすることを目的とする。
方法 大学生を対象に2022年6月から2024年12月に質問紙調査及びオンライン調査を実施し,946名から有効回答を得た(男性389名,女性557名)。大学生のこれまでの家族構成について,「母子家庭」が92人,「父子家庭」が26人,「父母がいる家庭」が828人であった。家庭展望は筆者らが作成した「未来の家庭展望尺度」を用いて測定した。また,家庭展望の影響要因として,「父・母との関係(4因子)」,「生活経験(2因子)」,「家族観(5因子)」及び「生活観(7因子)」の各因子を独立変数として設定した。
結果 「父母がいる家庭」の大学生は家庭展望得点のうち「見通しの明確性」,「希望・自信」得点が高く,「将来に向けた準備」得点が低い傾向にあった。他方,「母子家庭」と「父子家庭」で育った大学生はともに「見通しの明確性」,「渇望」,「将来に向けた準備」得点が低いこと,特に「父子家庭」の大学生は「指向性」得点が低いことが示された。また,家庭展望への影響要因について,「父母がいる家庭」の大学生の家庭展望は「母との関係」と「生活経験」,「家族観」に影響を受けるのに対して,「母子家庭」の大学生の家庭展望は「母との関係」と「生活経験」に,「父子家庭」の大学生は「生活経験」に影響を受けることが明らかとなった。