講演情報

[P-105]DNA抽出実験を伴う家庭科授業が高校生の食の安全意識に及ぼす効果~ 遺伝子組換え・ゲノム編集による食品の安全意識 ~

藤田 宏美1、野坂 奈緒美1、北原 敦子2、伊澤 史隆2、*上田 悦子1 (1. 鳥取大、2. 米子南高)

キーワード:

高校家庭科授業、食の安全・安心、リスクコミュニケーション

[目的] 高校専門教科家庭科「食品衛生」の学習では、家庭の生活に関わる産業の見方・考え方を働かせ、実践的・体験的な学習活動を通して、食生活の安全と食品衛生対策について体系的・系統的に理解することが求められている。そこで、DNA抽出実験を取り入れた授業を実践し、遺伝子技術を用いた作物や食品のリスクコミュニケーションをふまえた食の安全・安心に関する授業の有効性と課題を検証した。
[方法]全日制家庭学科3年生を対象として、2021年より毎年、食品のDNA抽出実験を取り入れた「食生活の衛生と安全」に関する出張授業を実施している。この授業の前後に行った生徒への自記式質問紙調査を分析し、食品の遺伝子検査や遺伝子組換え食品・ゲノム編集作物を含めた食の安全・安心を扱う授業を評価した。
[結果]ほとんどの生徒が実験授業に積極的に参加したと評価し、実験そのものも成功したと感じていた。授業後には食品のDNAに関心を持ち、遺伝子を扱う技術や研究が「食の安全・安心」「人類の食料危機」等に役立っていることが理解された。また、遺伝子技術を応用した作物・食品の栽培実態や貢献の理解、関心が高まるとともに、食品表示を確認して購入する意欲等、今後の行動変容に関する記述がみられた。本実験教材による実験操作の達成感が、「食の安全」「遺伝子組換え食品」等への理解を促すことが伺われ、学習に有効な教材であると認められた。