講演情報

[P-123]衣服提案による障害当事者の意識変化四肢長不等(脚長差)のある方の場合

*平林 由果1、蜂屋 歌子2 (1. 金城学院大、2. 元金城学院大学)

キーワード:

マフッチ症候群、四肢長不等(脚長差)、意識変化、衣生活向上

目的:生まれつき障害のある方は、衣服面での不自由さに気付いていないことが多い。障害当事者が気づかない不便さを見出し、着心地のよい衣服提案することにより衣生活向上を目指した。
方法:協力者はマフッチ症候群で四肢長不等(脚長差)があり、右腕・右脚が約25cm短い。外出時は右脚に装具を着用している。当事者から普段の衣生活状況や衣服に関する不満・要望を聞き取り、試作服の提案と改良を重ねた。
結果および考察:2つの提案方針を立てた。提案①として当事者の腕と脚の長さに合わせて袖丈、パンツ丈をカットするリフォームである。「初めて身体の長さに合った服を着て、フィットする心地良さを知ることができた。」と評価された。提案②として装具を完全に覆い隠すパンツの製作である。「装具が見えないだけで、他人の視線から守られている安心感を得た。」と評価された。初めは不満や要望を聞き出すことができなかったが、試作服の提案と改良を重ねていくうちに、当事者自身が不便さに気づき、一緒に提案服の改良を検討できるようになった。障害当事者は当初、衣服の不便さを容認していたが、個々に合わせて衣服をリフォーム、製作することができることを知ったことにより、おしゃれの楽しさに気づき、衣服に対する意識が変化していった。当事者が気づいていない不満や要望を引き出すことは容易ではないが、諦めずに向き合い続けることが重要であると思われる。