講演情報

[P-016]エラグ酸による脂質代謝改善効果の検討

稲岡 ほの1、坂口 若菜1、竹下 真由1、高津 聖良1、*中田 理恵子1 (1. 奈良女大)

キーワード:

エラグ酸、脂質代謝、核内受容体PPAR

【目的】私たちは、糖脂質代謝等の調節に関与する核内受容体PPAR活性化を指標として、食事から摂取できる機能成分の作用機構について検討を続けている。これまでに、ブドウ等に含まれるレスベラトロールやその配糖体ピセイドが、PPARα依存的に脂質代謝改善効果や抗動脈硬化作用を示すことを報告している。本研究では、ラズベリー、イチゴ、ザクロなどに含まれるエラグ酸の脂質代謝改善効果とPPARの関与について検討した。
【方法・結果】
1)ウシ血管内皮細胞(BAEC)を用いたレポーターアッセイにより、培養細胞におけるPPAR活性化を評価した。その結果、エラグ酸はPPARの3つのサブタイプα, β/δ, γを選択的に活性化した。
2)PPARα欠損型および対照野生型マウス(C57BL/6J、雄性、8~9週齢)に、普通食(AIN93-G)または0.2%エラグ酸食を自由摂取させた。6週間後に血液と組織を採取し解析に用いた。野生型マウスでは、エラグ酸摂取によるnon-HDLコレステロールの減少と脂質代謝関連遺伝子の発現誘導が認められたが、PPARα欠損型マウスではこれらの変化は見られなかった。
以上より、エラグ酸はin vitro, in vivo でPPARを活性化し、PPARαを介して脂質代謝改善効果を有する可能性が示唆された。