講演情報

[P-020]市販の賞味期限付き冷蔵食品の家庭での取り扱いと微生物学的安全性:開封の有無や保存温度の影響

*筒浦 さとみ1、三田 菜津美1、新井 紗雪1、村田 容常2 (1. 新潟大、2. 東農大)

キーワード:

賞味期限付き冷蔵食品、微生物学的安全性、食品安全文化

【目的】近年、賞味期限が設定された冷蔵の調理済み食品の需要が増加傾向にある。本研究では、フードセーフティカルチャーの醸成やリスクコミュニケーションを図る目的で、市販の賞味期限付き冷蔵食品の微生物汚染状況及び保存温度や開封の有無等の家庭での取り扱いや保存方法の違いが微生物学的安全性に与える影響を調べた。
【方法】2024年に新潟市内のスーパーマーケット等で市販の賞味期限付き冷蔵惣菜20種を購入した。未開封及び開封した惣菜を冷蔵(10°C)及び室温(25°C)で保存し、経時的に菌数とpHを測定した。未開封の惣菜を25℃保存後に検出されたコロニーを単離し、16S rDNA解析により菌種を同定した。
【結果】未開封の惣菜を10°Cで長期的に保存しても微生物はほとんど検出されなかったが、一部の開封済みの惣菜では増殖した。一方、25°C保存では未開封の惣菜でも菌が増殖し、耐熱性で自然環境に広く存在し、食品の腐敗に関与するBacillus属やHeyndrickxia属等と推定された。これらの多くは非病原性の菌であったが、もつ煮等の一部の惣菜にはB. cereus groupやCandida属等の病原性のあるものも含まれた。市販の賞味期限付き冷蔵食品は未開封でかつ商品記載の保存温度条件に従って保存することが安全性を確保する上で重要であることが再確認されたとともに、これらの食品の包装・殺菌後に残存する菌種が明らかになった。