講演情報

[P-038]中学生における調理操作に対する意識と課題蒸し調理に着目して

*村上 陽子1、鳥居 優理香2 (1. 静岡大、2. 沼津市立第五中)

キーワード:

調理操作、蒸し調理、中学生、食文化、家庭科、文化継承

【目的】 近年,和食をはじめとして伝統的な食文化の継承に向けた取組みが推進されている。学校教育においても食文化継承の充実が提唱されている。平成29年度告示の中学校学習指導要領(技術・家庭編)では,習得すべき調理法として新たに「蒸す」が加わった。「蒸す」とは,水蒸気を利用して食材を加熱する調理操作であり,和食の五法の一つである。中学生が「蒸す」について学びを深め,生活に活かすことにより,食文化の理解・継承・創造に繋がると考えられる。一方,近年,生活スタイルの変化により,家庭での調理機会の減少や調理技術の低下,家庭や地域における食文化喪失が危惧されている。本研究では蒸し調理に着目し,中学生における調理操作の実態と課題を把握することとした。
【方法】 質問紙調査をS大学附属中学校3校にて実施した(計1,031名,2020年10月~2021年1月)。調査内容は,学校や家庭での調理経験や蒸し調理に関する印象などについて検討した。
【結果】 学校で経験した調理操作は「切る」「ゆでる」「焼く」「炒める」の順で高く,経験者の割合はいずれも9割以上であった。家庭での調理経験をみると,学校での調理経験と同様,これら調理操作の経験者は高かった。一方,「蒸す」調理操作は,学校よりも家庭での調理経験が有意に高かった。各調理操作に対するイメージでは,蒸し調理を「やってみたい」とする生徒が7割以上みられた。