講演情報

[P-056]エチレンジアミン処理がポリエステル布帛の吸湿性に与える影響

*美谷 千鶴1、藤本 明弘2、塚崎 舞3、森田 みゆき3 (1. 日本女子大、2. 宮崎大、3. 東京学芸大)

キーワード:

ポリエステル、エチレンジアミン、吸湿性、表面改質

目的 軽量性と耐久性から多様な用途に利用されているポリエステル(PET)にエチレンジアミン(EDA)処理を行い,アミノ基導入がPET布帛の消費科学的性能に及ぼす影響について物性評価を行ってきた.本研究ではEDA処理がPET布帛の吸湿性,布帛表面の官能基,および力学物性値との関係に及ぼす影響について検討した.
方法 精練したPET布帛を濃度30%~50%(w/w)EDA水溶液に24時間40℃で浸漬処理後,水洗し風乾した.各EDA処理布帛の水分率(20℃,60%RH)は乾燥減量法で測定した.各EDA処理布帛表面のアミノ基の分析は,フーリエ赤外分光光度計(FT-IR)を用いた.
結果 EDA処理PET布帛は,EDA処理濃度の増大に伴って水分率が上昇した.特に,EDA30%処理布帛で未処理布帛の1.5倍,EDA50%処理布帛では3倍と最も高い水分率を示した.FT-IRによるアミノ基分析では,EDA30%以上の処理布帛でアミノ基の吸光度が増加した.特に,EDA50%では,他の低濃度条件と比べて,アミノ基の吸光度の増加割合が低くなり,繊維表面上のアミノ基の増加量は微増だった.EDA処理によってPET布帛の水分率が有意に増加することから,EDA濃度が増大すると効率的にPET内部にアミノ基が導入され,吸湿性を向上させたためと考えられる.