講演情報

[P-086]アルミ材を芯ブレースに使用した座屈拘束ブレースの減衰性能

*吉田 競人1、別府 芽衣1、西澤 秀喜2 (1. 名古屋女子大、2. 明星大)

キーワード:

座屈拘束ブレース、履歴特性、時刻歴応答解析

【目的】  
 木質構造戸建て住宅が地震などの水平力に抵抗するため、建築基準法では筋かいなどの壁量を規定している。しかし、近年発生している大地震の被害状況から、木質住宅の倒壊を防ぐためには、より高い耐震性能が求められることが示唆されている。このような背景を踏まえ、本研究では芯ブレースにアルミ材を使用した座屈拘束ブレース(以下、ABRB)を開発し、試験体を用いた静的加力実験を実施し、等価減衰定数を算出することでABRBの制振性能を評価してきた。しかし、実際の地震動に対する挙動は未解明な部分が多い。そこで、本研究では時刻歴応答解析を実施し、ABRBの制振性能を詳細に評価するものである。

【方法】
 ABRBの制振性能を検証するため、筋かいモデルとBRBモデルの2種類を作成し、それぞれの壁倍率が等しくなるように設定した。次に、wallstatを用いて2種類の地震波を入力し、これらのモデルに対する時刻歴応答解析を行った。解析結果として得られた応答変位および応答せん断力を比較し、ABRBの制振効果を評価した。

【結果】
 解析の結果、ABRBは一般的な地震力抵抗要素である筋かいと比較して優れた制振性能を示すことが明らかとなった。特に、大地震時のエネルギー吸収能力が高く、木造建築物の耐震性能向上に寄与する可能性が示唆された。本研究の結果は、ABRBの有効性を裏付けるものであり、今後のさらなる検討が求められる。