講演情報
[03心-ポ-28]教師の指導スタイル、運動有能感、劣等コンプレックスが将来の運動実施意欲に及ぼす影響
*山田 佑響1、山本 浩二2、中須賀 巧1 (1. 兵庫教育大学大学院、2. 関西福祉大学)
本研究の目的は、高等学校体育における教師の指導スタイル、運動有能感、劣等コンプレックスが将来の運動実施意欲に及ぼす影響を検討することであった。本目的を遂行するにあたり、教師の指導スタイルを独立変数、将来の運動実施意欲を従属変数、そして運動有能感と劣等コンプレックスを媒介変数とした分析モデルを設定した。大学1年生549名を対象に、体育授業における教師のフィードバック行動測定尺度(山本ほか,2022)、課題・過去・他者を基準とする運動有能感尺度(藤田,2009)、体育授業における劣等コンプレックス尺度(佐々木ほか,2016)、将来の運動実施意欲を問う質問紙調査を実施した。分析モデルの検証には共分散構造分析を用いた。分析の結果、モデルの適合度は十分な値であった。モデル内で確認された主な有意なパスについて述べると、教師からの称賛が生徒の過去基準有能感と課題基準有能感に正の影響を与え、その過去基準有能感と課題基準有能感は運動スキルコンプレックスに負の影響を与えた。さらに、運動スキルコンプレックスは将来の運動実施意欲に負の影響を与えた。一方で、教師からの助言は生徒の過去基準有能感と課題基準有能感に負の影響を与え、その過去基準有能感と課題基準有能感は運動スキルコンプレックスに負の影響を与えた。さらに、運動スキルコンプレックスが将来の運動実施意欲に負の影響を与えることが確認された。以上のことから、教師の指導スタイルに関して称賛が豊富であったと認知する生徒ほど、過去や課題を基準とした運動有能感が高まり、それによって運動スキルコンプレックスが低下し、その後の運動を実施することに対しても意欲的に取り組める可能性があることが示唆された。しかし助言には、過去や課題を基準とした運動有能感の低下、それによる運動スキルコンプレックスの向上、将来の運動実施に対する意欲低下を促すプロセスが示唆された。
コメント
コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン
