講演情報

[03心-ポ-48]ゲーミフィケーションを取り入れた大学教養体育の教育的有効性の実践的検討運動に対する動機づけと健康意識の変化に着目して

*松浦 佑希1、福地 修也2、水野 哲也3 (1. 宇都宮大学 共同教育学部、2. 筑波大学大学院 人間総合科学学術院、3. 東京科学大学大学院 地域・福祉口腔機能管理学分野)
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大学体育授業を通して健康づくりや身体活動に対する動機づけを高めることは,公衆衛生的側面から重要な役割を果たすと言われている(木内・橋本,2012).しかしながら,コロナ禍を経て大学生の身体活動量は低下していることが報告されている(西山ほか,2021).そこで,本研究では大学体育授業において身体活動に対する動機づけを高める手段として,ゲーミフィケーション(Deterding et al., 2011)に着目し,その要素を取り入れた大学体育授業を実施して,授業前後における活動に対する動機づけや健康への興味・関心の変化について検討を行った.その結果,授業前後で運動に対する内発的動機づけの得点が高まる傾向が認められ,授業前と比較して,運動が好きな者が有意に増加し,さらに運動への意欲も有意に高まった.健康に関連する指標については,健康習慣得点の有意な改善に加え,「授業前と比較して自身の心身の健康に興味を持つようになった」と回答した学生が有意に多かった.その一方で,健康関心度得点は有意な低下が見られた.これらの結果から,運動に対する意欲や動機づけについては,ゲーミフィケーションを取り入れた実技授業によって高まることが示唆された.その一方で,健康への興味関心については,一見矛盾した結果が得られているが,これは各尺度が測定する内容の相違によるものだと考えられる.授業を通じて自身の健康への興味・関心が喚起された一方で,客観的に見直す機会が与えられたことにより,以前は「関心が高い」と自己評価していた学生が,自己の関心度を再定義し,相対的に低く評価した可能性が考えられる.また,健康への興味関心が高まった学生の多くが,その理由として授業内に行われた講義での学びについて挙げており,健康への興味関心を高めるには,実技授業の中で健康に関する講義を組み合わせて行うことの必要性が示唆された.

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