特別セッションのご案内
► 特別セッション1(日本学術振興会「国際先導研究」共催)
開催日時 | 7月5日(土)13:15~14:15 |
分野 | 基礎免疫学、疫学 |
演題名 |
【基礎免疫学】感染に備えるT細胞とその応答 【疫学】新型コロナ これまで、これから |
座長 |
西浦 博 先生(京都大学大学院医学研究科) 鈴木 忠樹 先生(千葉大学大学院医学研究院 感染病態学) |
演者 |
【基礎免疫学】 山﨑 晶 先生(大阪大学微生物病研究所 分子免疫制御分野) 【疫学】 尾身 茂 先生(公益財団法人結核予防会) |
抄録 |
【基礎免疫学】 「感染に備えるT細胞とその応答」 Cellular and humoral responses constitute fundamental elements of adaptive immunity to achieve successful protection against infection. In contrast to antibody-based immunity, T cell-mediated immune responses has not been fully characterized on a clonotype resolution. Using PBMCs from infected patients, we determined dominant clonotypes and epitopes of virus-reactive T cells which were associated with symptoms and immunological memories. These approaches also led us to identify a novel pathogen-specific unconventional T cell subset shared across humans. In this symposium, we would like to share and discuss our insights obtained from chronological × clonological analysis of human T cell responses during infection.
【疫学】 「新型コロナ これまで、これから」 新型コロナウイルス感染症について、我が国では様々な感染対策を講じてきた。 |
► 特別セッション2(JST「さきがけ」共催)
「パンデミックに対してレジリエントな社会・技術基盤の構築」領域の共催シンポジウム
テーマ | ネクストパンデミックに対してレジリエントな社会・技術基盤の構築 |
開催日時 | 7月5日(土)16:45~17:45 |
座長 |
伊東 潤平 先生(東京大学医科学研究所) |
演者 |
<ファシリテーター> 押谷 仁 先生(東北大学) <話題提供者> 上蓑 義典 先生(慶應義塾大学医学部臨床検査医学教室) 米岡 大輔 先生(国立感染症研究所 感染症疫学センター) 川崎 純菜 先生(千葉大学 大学院医学研究院) |
抄録 |
「パンデミックと臨床研究:崩壊する医療の中でどのように臨床研究を展開するか」(上蓑 義典 先生) パンデミック期に当院では、国内で初となる大学病院の院内感染事例を経験した。外来機能は停止し、多くの医療職は、在宅勤務となる中で、感染制御部門の担当者として収束に向けて忙しい時間を過ごした。
「COVID-19と統計科学」(米岡 大輔 先生) 本発表では、統計家の立場として実施してきたCOVID-19 の拡大防止に資する統計解析とシミュレーション研究の成果を報告する。まず、米国 CDC や国立感染症研究所が採用している超過死亡推定手法、Farrington アルゴリズムの概要を示す [1]。同アルゴリズムは、インフルエンザ早期検知を目的としたスライディングウィンドウ型の準ポアソン回帰モデルであり、Noufaily らによる感度強化版が現在広く利用されている [1]。本発表では、観測死亡数と予測死亡数(またはその 95% 上限)の乖離を評価指標として解析を行う。さらに、空間情報を導入した Generalised Space–Time Farrington 法 [2] を紹介し、COVID-19 超過死亡の推定においては、感染症による直接死だけでなく、行動抑制による交通事故死の減少や医療逼迫に伴う他疾患死亡の増加も踏まえる必要があることを示す。また、空間・時間クラスター検出に有効なスキャン統計によるホットスポット検知についても概説する。
「オープンデータ利活用による動物由来ウイルスのゲノム疫学調査」(川崎 純菜 先生) 動物からヒトへのウイルス伝播によって、多くの感染症が引き起こされてきた。将来のパンデミックに備えるには、ヒトだけでなく動物を対象とした感染症対策、すなわちOne health 理念に基づいたアプローチが必要である一方で、ヒトと動物を対象とした大規模なウイルス感染調査は、金銭的・人的コストの観点から実施困難な現状がある。そこで私たちは、世界各地の研究者が取得してきた次世代シークエンスデータをウイルス学的に再解析することで、動物に潜む多様なウイルスを大規模かつ低コストに調査可能なシステムの構築を試みている。さらに、同定されたウイルスの性状解析の効率化を目指し、ウイルスのヒト感染リスクを評価する機械学習モデルの構築にも取り組んでいる。本セッションでは、これらの研究成果を紹介し、ネクストパンデミックのリスクとなりうる動物由来ウイルスの監視・制御に向けた異分野融合研究について議論したい。 |
► 特別セッション3(日本学術振興会「国際先導研究」共催)
開催日時 | 7月6日(日)13:15~14:15 |
分野 | 臨床医学、基礎ウイルス学 |
演題名 |
【臨床医学】パンデミック禍の地域医療 培われた地域連携の展開 【基礎ウイルス学】日本の新型コロナウイルス感染症流行と国立健康危機管理研究機構の設立 |
座長 |
南宮 湖 先生(慶應義塾大学医学部感染症学教室) 佐藤 佳 先生(東京大学医科学研究所) |
演者 |
【臨床医学】 高山 義浩 先生(沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科) 【基礎ウイルス学】 脇田 隆字 先生(国立感染症研究所) |
抄録 |
【臨床医学】 「パンデミック禍の地域医療 培われた地域連携の展開」 日本では少子高齢化が進み、地域によっては過疎化に歯止めがかからない状況となっている。現役世代の減少により介護人材の確保も難しくなり、高齢者の暮らしを支える仕組みが限界となりつつある。介護過疎が進む地域では、高齢者の救急搬送が増え、退院調整の遅れによる入院の長期化が、医療をひっ迫の要因となっている。
【基礎ウイルス学】 「日本の新型コロナウイルス感染症流行と国立健康危機管理研究機構の設立」 2019年末に武漢市で原因不明肺炎の集団発生があり、その後全世界に流行が拡散した。2020年1月10日に公表されたSARS-CoV-2ゲノム配列に基づき、感染研はウイルス遺伝子検査系を開発し、1月15日に国内初症例を確認した。検査系は全国の地衛研・検疫所に配布され検査体制が構築された。1月下旬から帰国チャーター便対応、また、2月初めには横浜港でクルーズ船の船上隔離対応に追われた。そして、3月下旬には都市部で感染者数が急増し、4月7日には最初の緊急事態宣言が発出された。その後も変異株の出現と感染拡大があり、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による対策が繰り返された。2021年末からはオミクロン株の侵入があり、感染者数は非常に多くなり高齢者の感染による死亡者数が増加した。2023年5月以降、新型コロナウイルス感染症は五類感染症に分類され、全数報告から定点報告疾患となった。新型コロナワクチンの接種が2021年から始まったが、ワクチンの免疫も、自然感染による免疫も経時的に減衰する。さらに、オミクロン株は変異を続け、現在も流行を繰り返している。 |