講演情報
[T16-O-7]上部白亜系和泉層群の基底部の層序と堆積環境復元:香川県東かがわ市引田城山海岸不整合部について
*高沢 和希1、清川 昌一1、池原 実3、元村 健人1、高畑 直人2 (1. 九州大学、2. 東京大学大気海洋研究所、3. 高知大学海洋コア国際研究所)
キーワード:
上部白亜系、和泉層群
和泉層群は、愛媛県から紀伊半島まで中央構造線(MLT:Median Tectonic Line)の北縁を最大幅約15 km、長さ約300 kmにわたって細く分布する白亜紀後期Campanian及びMaastrichtianの堆積岩で構成される。先行研究では幾何学的モデル実験や古生物学的手法を通して、MTLの活動史と関連した堆積盆の発達過程や堆積環境の推定、詳細な年代測定が行われた(Misaki & Tsujino (2020)、岩本・宮田(1994))。一方で、堆積層最下部における不整合からどのように海洋環境が変化していったかについては明らかでない。本研究では和泉層群の不整合からの連続地層が露出する、引田城山露頭の詳細な柱状図作成および有機物分析を行い、本地域の和泉層群基底部の堆積場復元を目的としている。
城山地域の東部海食崖における、花崗岩基盤の上に堆積している地層について、岩相に基づき下部から順にA, B1, B2, C, Dの5つのユニットに分けた。A層は層厚7m60cm、均質な花崗岩に無整合に、粗粒花崗岩質なアルコース砂岩層が重なる。地層は平行層理を持っており、石英質の角礫を含む。地層中に直径数mに及ぶ石英質な巨礫を含むチャネル構造がみられる。B層は約40mあり、2層に区分できる。B1層は約12m、有機物に富む黒色シルト質泥岩層を含むのが特徴的で、部分的に長石粒子が見られゴマ塩状の岩相を呈する。泥岩から砂岩へ上方粗粒化が見られ、側方に層厚が変化し、部分的に生痕化石を含む。B2層は約30m、泥岩から上方粗粒化が顕著で、最上部は厚い礫岩層である。礫は灰色や白色の斑岩起源のものが多く非常に円増されている。地層は上方粗粒化しており、礫岩層には明瞭なチャネル構造がみられる。C層は約32m、B2層の厚い礫岩層の上位で礫岩層から砂岩泥岩層がくり返す。礫岩層から泥岩層への4回の上方細粒化を示す。D層は約42mの粗粒砂岩—礫岩層から成り数か所に泥岩層を挟む。礫は粗粒砂岩の基質中に含まれ、下部の層で多かった礫支持の礫岩層とは岩相が異なる。上部には低角度の斜交層理などの堆積構造がみられる。(炭素・硫黄分析)有機物を多く含む泥岩試料について有機炭素と硫黄の同位体測定を行った。炭素は、TOCが0.43 ~ 9.15 wt. %、炭素同位体比 が -25.64 ~ -24.25 ‰ を示し、有意な上下変化は見られなかった。一方硫黄は全硫黄が 0.12 ~ 13.76 wt. %、硫黄同位体比 が -27.7 ~ 17.8 ‰ を示した。Berner & Raiswell (1983) による全硫黄TSおよび全有機態炭素TOCの比TS/TOCの指標を用いれば、泥岩試料13個中4つが海成、残9試料が淡水成の値を示した。
(まとめ)和泉層群の基底部A 層は領家花崗岩類を含むチャネル堆積物からなる。その上位に氾濫原(湿地)を示唆する有機物に富む泥岩層(B1層)が重なり、河川の発達により小規模な砂州が形成されていたと考えられる。B2層で明瞭なチャネル構造がみられ,C層で河川-湿地が繰り返し発達した様子がうかがえる。D 層では白色砂礫粒子が特徴的な砂質礫岩がみられ、より沿岸砂州のような厚い砂が溜まる地層に変化し、徐々に海環境へ変化すると考えられる。
引用文献
Robert A. Berner & Robert Raiswell, 1983, Geochimica et Cosmochimica Acta Vol. 47, pp. 855 to 862
参考文献
Akihiro Misaki & Yasuyuki Tsujino, 2020, Paleontological Research, vol. 25, no. 2, pp. 127–144
岩本正人 宮田隆夫, 1994年, 構造地質(構造地質研究会誌) 第40号, p131-138
城山地域の東部海食崖における、花崗岩基盤の上に堆積している地層について、岩相に基づき下部から順にA, B1, B2, C, Dの5つのユニットに分けた。A層は層厚7m60cm、均質な花崗岩に無整合に、粗粒花崗岩質なアルコース砂岩層が重なる。地層は平行層理を持っており、石英質の角礫を含む。地層中に直径数mに及ぶ石英質な巨礫を含むチャネル構造がみられる。B層は約40mあり、2層に区分できる。B1層は約12m、有機物に富む黒色シルト質泥岩層を含むのが特徴的で、部分的に長石粒子が見られゴマ塩状の岩相を呈する。泥岩から砂岩へ上方粗粒化が見られ、側方に層厚が変化し、部分的に生痕化石を含む。B2層は約30m、泥岩から上方粗粒化が顕著で、最上部は厚い礫岩層である。礫は灰色や白色の斑岩起源のものが多く非常に円増されている。地層は上方粗粒化しており、礫岩層には明瞭なチャネル構造がみられる。C層は約32m、B2層の厚い礫岩層の上位で礫岩層から砂岩泥岩層がくり返す。礫岩層から泥岩層への4回の上方細粒化を示す。D層は約42mの粗粒砂岩—礫岩層から成り数か所に泥岩層を挟む。礫は粗粒砂岩の基質中に含まれ、下部の層で多かった礫支持の礫岩層とは岩相が異なる。上部には低角度の斜交層理などの堆積構造がみられる。(炭素・硫黄分析)有機物を多く含む泥岩試料について有機炭素と硫黄の同位体測定を行った。炭素は、TOCが0.43 ~ 9.15 wt. %、炭素同位体比 が -25.64 ~ -24.25 ‰ を示し、有意な上下変化は見られなかった。一方硫黄は全硫黄が 0.12 ~ 13.76 wt. %、硫黄同位体比 が -27.7 ~ 17.8 ‰ を示した。Berner & Raiswell (1983) による全硫黄TSおよび全有機態炭素TOCの比TS/TOCの指標を用いれば、泥岩試料13個中4つが海成、残9試料が淡水成の値を示した。
(まとめ)和泉層群の基底部A 層は領家花崗岩類を含むチャネル堆積物からなる。その上位に氾濫原(湿地)を示唆する有機物に富む泥岩層(B1層)が重なり、河川の発達により小規模な砂州が形成されていたと考えられる。B2層で明瞭なチャネル構造がみられ,C層で河川-湿地が繰り返し発達した様子がうかがえる。D 層では白色砂礫粒子が特徴的な砂質礫岩がみられ、より沿岸砂州のような厚い砂が溜まる地層に変化し、徐々に海環境へ変化すると考えられる。
引用文献
Robert A. Berner & Robert Raiswell, 1983, Geochimica et Cosmochimica Acta Vol. 47, pp. 855 to 862
参考文献
Akihiro Misaki & Yasuyuki Tsujino, 2020, Paleontological Research, vol. 25, no. 2, pp. 127–144
岩本正人 宮田隆夫, 1994年, 構造地質(構造地質研究会誌) 第40号, p131-138
コメント
コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン
