講演情報
[T16-O-10]濃飛流紋岩類の古地磁気層序:火山深成複合岩体の古地磁気年代決定の例
*星 博幸1、酒向 和希2 (1. 愛知教育大学、2. 新城市立千郷中学校)
キーワード:
濃飛流紋岩類、奥美濃酸性岩類、古地磁気層序、火山深成複合岩体、後期白亜紀、対比
はじめに 濃飛流紋岩類は白亜紀のユーラシア大陸東縁部に多数形成された珪長質火山深成複合岩体の一つである。濃飛流紋岩類の噴出物の総量は5000~7000 km3に達したと推定され[1]、西南日本に認められる後期白亜紀の珪長質火山深成複合岩体としては最大規模と考えられる。かつて濃飛流紋岩類は85 Ma頃から68 Ma頃までの長期にわたって形成されたと考えられていたが、最近のジルコンU-Pb年代測定によって70 Ma前後の数Myrという比較的短期間に形成されたことが判明しつつある[2]。
U-Pb年代測定の高精度化によって、後期白亜紀でも10万年程度あるいはより高い精度で年代値を求められるようになった。しかし、火成活動年代を高い信頼度で推定するためには、異なる複数の手法を組み合わせることが望ましい。そこで筆者らは、濃飛流紋岩類の噴出岩(主に溶岩および火砕流堆積物)および貫入岩を対象として古地磁気極性層序の検討を行った。濃飛流紋岩類が岩体形成時に獲得された初生的な残留磁化を記録していることは筆者らの岩石磁気学的検討によって判明しているため[3]、今回は極性の層序変化について報告する。
結果と意義 濃飛流紋岩類の活動期・構成単位区分[1]であるNOHI-2からNOHI-5までに属する岩石ユニットについて40地点で残留磁化方位が決定され、そのうち15地点の方位が初生的な残留磁化と判断されている[3]。その15地点の残留磁化極性を山田・小井土[1]および山田ほか[4]の火山層序に従って整理したところ、NOHI-2からNOHI-5までの岩石シーケンスは逆極性(R)が卓越する下位の磁極帯と正極性(N)からなる上位の磁極帯に二分されることが判明した。それらの極性反転層準は、NOHI-4に属する阿寺層の中にある。ジルコンU-Pb年代値を拠り所にすると、このR-N極性層序は地磁気年代層序のクロノゾーンC31に対比され、阿寺層中の極性反転層準はC31n/C31r境界(69.271 Ma)[5]に対比される。
加えて、筆者らは今回、濃飛流紋岩類分布域の西方に分布している奥美濃酸性岩類[6]の八幡岩体・亀尾島川層の溶結火山灰流堆積物の古地磁気も検討した。この堆積物は濃飛流紋岩類のNOHI-3に属する下呂火山灰流シート[4]に岩相が類似し、対比の可能性が指摘されている[7]。亀尾島川層の溶結火山灰流堆積物の古地磁気を2地点で検討したところ、いずれも逆極性を示した。これは今回明らかになった濃飛流紋岩類のR-N極性層序と大きくは矛盾しない。下呂火山灰流シートには逆極性の部分と正極性の部分があるため、亀尾島川層の溶結火山灰流堆積物は下呂火山灰流シートの逆極性の部分に対比される可能性が高い。
今回の検討結果は、火山層序、放射年代、および古地磁気層序を総合的に検討することで、火山深成複合岩体の形成年代と層序対比を詳細に明らかにできることを示している。また、珪長質火山深成複合岩体の形成に関連したテフラが深海掘削コアや陸上付加体に認められる場合、テフラを含む地層(付加体の場合は整然層)の層序、放射年代、古地磁気層序などを総合的に調査することによって、給源と深海堆積物あるいは付加体整然層を高精度で対比する(同一時間面を認定する)ことが可能になると期待できる。
文献 [1]山田・小井土, 2005, 地団研専報, 53, 15-28; [2]星ほか, 2016, 地質学会123年大会演旨, R5-O-7; [3]酒向・星, 2015, JpGU 2025年大会演旨, SEM34-13; [4]山田ほか, 2005, 地団研専報, 53, 29-69; [5] Ogg, 2020, in Gradstein et al., eds, Geologic Time Scale, Vol. 1, Elsevier, 159-192; [6]棚瀬, 1982, 地質雑, 88, 271-288; [7]棚瀬ほか, 2005, 地団研専報, 53, 159-171.
U-Pb年代測定の高精度化によって、後期白亜紀でも10万年程度あるいはより高い精度で年代値を求められるようになった。しかし、火成活動年代を高い信頼度で推定するためには、異なる複数の手法を組み合わせることが望ましい。そこで筆者らは、濃飛流紋岩類の噴出岩(主に溶岩および火砕流堆積物)および貫入岩を対象として古地磁気極性層序の検討を行った。濃飛流紋岩類が岩体形成時に獲得された初生的な残留磁化を記録していることは筆者らの岩石磁気学的検討によって判明しているため[3]、今回は極性の層序変化について報告する。
結果と意義 濃飛流紋岩類の活動期・構成単位区分[1]であるNOHI-2からNOHI-5までに属する岩石ユニットについて40地点で残留磁化方位が決定され、そのうち15地点の方位が初生的な残留磁化と判断されている[3]。その15地点の残留磁化極性を山田・小井土[1]および山田ほか[4]の火山層序に従って整理したところ、NOHI-2からNOHI-5までの岩石シーケンスは逆極性(R)が卓越する下位の磁極帯と正極性(N)からなる上位の磁極帯に二分されることが判明した。それらの極性反転層準は、NOHI-4に属する阿寺層の中にある。ジルコンU-Pb年代値を拠り所にすると、このR-N極性層序は地磁気年代層序のクロノゾーンC31に対比され、阿寺層中の極性反転層準はC31n/C31r境界(69.271 Ma)[5]に対比される。
加えて、筆者らは今回、濃飛流紋岩類分布域の西方に分布している奥美濃酸性岩類[6]の八幡岩体・亀尾島川層の溶結火山灰流堆積物の古地磁気も検討した。この堆積物は濃飛流紋岩類のNOHI-3に属する下呂火山灰流シート[4]に岩相が類似し、対比の可能性が指摘されている[7]。亀尾島川層の溶結火山灰流堆積物の古地磁気を2地点で検討したところ、いずれも逆極性を示した。これは今回明らかになった濃飛流紋岩類のR-N極性層序と大きくは矛盾しない。下呂火山灰流シートには逆極性の部分と正極性の部分があるため、亀尾島川層の溶結火山灰流堆積物は下呂火山灰流シートの逆極性の部分に対比される可能性が高い。
今回の検討結果は、火山層序、放射年代、および古地磁気層序を総合的に検討することで、火山深成複合岩体の形成年代と層序対比を詳細に明らかにできることを示している。また、珪長質火山深成複合岩体の形成に関連したテフラが深海掘削コアや陸上付加体に認められる場合、テフラを含む地層(付加体の場合は整然層)の層序、放射年代、古地磁気層序などを総合的に調査することによって、給源と深海堆積物あるいは付加体整然層を高精度で対比する(同一時間面を認定する)ことが可能になると期待できる。
文献 [1]山田・小井土, 2005, 地団研専報, 53, 15-28; [2]星ほか, 2016, 地質学会123年大会演旨, R5-O-7; [3]酒向・星, 2015, JpGU 2025年大会演旨, SEM34-13; [4]山田ほか, 2005, 地団研専報, 53, 29-69; [5] Ogg, 2020, in Gradstein et al., eds, Geologic Time Scale, Vol. 1, Elsevier, 159-192; [6]棚瀬, 1982, 地質雑, 88, 271-288; [7]棚瀬ほか, 2005, 地団研専報, 53, 159-171.
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