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[T3-O-13]石英の塑性変形による微細組織発達と含水量分布の変化

*福田 惇一1 (1. 大阪公立大学)
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キーワード:

石英、動的再結晶、含水量、赤外分光法

 石英は大陸地殻の主要構成鉱物である。断層深部の地震非発生域において、石英は塑性変形し、動的再結晶による細粒化が起こる。このように塑性変形の進展と共に微細組織が変化していく。また、石英内部に不純物として含まれる水は、結晶構造中に-OHまたは流体包有物としてH2Oとして存在する。このような水はそこでの結合を切断して存在していることから塑性変形を促進することが知られている。さらに、塑性変形による微細組織発達と共に水も移動し、含水量分布が変化することが期待される。しかし、微細組織発達と含水量分布の変化について調べた例は少ない。本研究では、花崗岩マイロナイト中に含まれる様々な微細組織を示す石英領域について、赤外分光法面分析を実施し、含水量分布測定を行った。
試料として、宮城県割山隆起帯中の剪断帯で発達する花崗岩マイロナイトと、大阪府岸和田地域の領家帯中の剪断帯で発達する花崗岩マイロナイトを用いた。両試料中の石英は塑性変形に伴う動的再結晶による細粒化を示すが、動的再結晶過程と粒径が異なる。前者の試料は石英のバルジングから亜粒界回転により平均粒径約10 µmまで細粒化しており、数mm程度までの長石類や角閃石ポーフィロクラストが含まれる。後者の試料では、亜粒界回転が卓越し、平均粒径約80 µmで、数mm程度までの長石類ポーフィロクラストを含む。さらに石英の平均粒径約20 µmまで細粒化し、長石類も細粒化したウルトラマイロナイト試料も産出する。
赤外分光法分析について、赤外スペクトルの吸光度は試料の厚みに比例することから、偏光顕微鏡下で微細組織が観察でき、かつ十分な赤外吸光度が得られる厚さ100 µm程度の試料を準備した。試料は試料表面および内部での反射を防ぐために、#3000まで両面研磨を行った。赤外分光法面分析は、アパーチャーサイズ25 x 25 µm、分析領域最大400 x 400 µmで行った。吸収度の濃度への換算は、Fukuda and Shimizu (2019)とFukuda et al. (2023)の議論に基づいて行った。
赤外分光法面分析の結果、両地域の塑性変形し、動的再結晶した石英の赤外スペクトルは2800-3800 cm-1に幅広い吸収帯を示し、H2O流体として含まれていることが分かる。しかし、石英の含水量分布は、以下に述べるように両地域の異なる微細組織の発達過程に対応し、水の挙動を議論することができる。
割山地域の花崗岩マイロナイトでは、動的再結晶石英粒子近傍のホスト石英粒子中の含水量は、600-1000 wt ppm H2Oであり、ホスト粒子形状に対応する。一方、動的再結晶領域の含水量は200-300 wt ppmと少なく、ホスト粒子から近傍の亜粒子領域、動的再結晶領域へと連続的に含水量が減少する。このことから、動的再結晶が起こる際、ホスト粒子内部の水が放出されたことが示唆される。岸和田地域の花崗岩マイロナイトでは、平均粒径約80 µmの動的再結晶石英粒子内部の含水量は粒子形状と対応し、個々の粒子を代表する含水量は100-1200 wt ppmであり、平均390 wt ppmであった。このことから、同地域のマイロナイトでは、石英の動的再結晶時に水は石英粒子内部に均質に分布することが示唆される。一方、ウルトラマイロナイトでは、平均粒径約20 µmの石英粒子は分析アパーチャーサイズより小さく、厚み方向も含めて複数の粒子と粒界中の含水量が平均化された結果を示す。含水量範囲は200-800 wt ppmで、平均含水量はマイロナイト中の石英と同じく390 wt ppmであった。このことから、ウルトラマイロナイト形成時には、動的再結晶粒径古応力計に基づけば、より高応力下においてにより細粒化するが、このとき含水量は保持されることが示唆される。

Fukuda J. and Shimizu I. (2019) Water distribution in quartz schists of the Sanbagawa Metamorphic Belt, Japan: Infrared spectroscopic mapping and comparison of the calibrations proposed for determining water contents. Earth, Planets and Space, Vol. 71:136.
Fukuda J., Okudaira T., Ohtomo Y. (2023) Water release and homogenization by dynamic recrystallization of quartz. Solid Earth. Vol. 14, pp. 409-424.

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