ランチョンセミナー(9月13日(土)12:00~13:00)
1. 若手企画委員会主催ランチョンセミナー
会場:第Ⅰ会場(応用生物科学部棟101)
タイトル:日本畜産学会第28回若手企画シンポジウム
テーマ:動物の心と身体を科学で読み解くには〜バイオエレクトロニクスとAIが紡ぐ畜産の未来〜
世話人:池田 裕美(麻布大)、島元 紗希(鹿児島大)、澤戸 利衣(農研機構)
演者:宇戸 禎仁(大阪工業大学工学部生命工学科 生体電子工学研究室 教授)
主旨:
近年、畜産分野から始まったアニマルウェルフェアの考え方は、産業動物のみならず伴侶動物、実験動物、展示動物、さらには野生動物にいたるまで、あらゆる領域において国際的な課題となっています。ヒトの言葉を持たない動物たちがどのように感じているのか、より良い状態で過ごしてもらうにはどのような飼育管理が適切なのか、これらの疑問を解決するためには、動物の「心」と「身体」を科学的に評価することが必要です。これまで、動物の心については動物行動学、身体や健康状態については動物栄養生理学の観点から解明が進められてきました。一方で、近年ではスマート畜産に代表されるように、畜産分野と工学分野が連携することでDX(デジタルトランスフォーメーション)が進展し、新たな技術が開発されています。これにより、動物の心と身体の状態についてより客観的かつ高精度に評価できるデバイスが登場しています。しかしながら、これらのデバイスは高価であることから、「スマート畜産を導入したいが、高額だから手が出せない・・・」と考える生産現場が多く、普及が進みにくいという課題も指摘されています。本セミナーでは、精神的・肉体的ストレスがかかりにくく、かつ低コストで提供可能な非侵襲型のバイオセンサの開発や、AIを用いた画像解析に関する研究を精力的に進めておられる大阪工業大学の宇戸先生をお招きします。宇戸先生には、ヒトを対象としたこれまでのご研究内容をご紹介いただき、畜産分野への応用の可能性について話題提供していただく予定です。これまで個別に扱われてきた行動学的評価・栄養学的管理・生理学的モニタリングを横断的に統合し、AIの活用によって個体ごとの健康状態の変化をリアルタイムで追跡することで、異常の早期発見にも繋がり、より迅速な対応が可能となります。アニマルウェルフェアの向上を目指す未来の畜産の可能性について皆さまとともに考える機会となれば幸いです。多くの皆様にご参加いただき、活発に議論・意見交換が行われることを願っています。
2. 住友化学企画ランチョンセミナー
会場:第Ⅴ会場(工学部棟100)
テーマ:「飼料へのクレアミノ™の利用」
主催団体名:住友化学株式会社 国際アグロ事業部 アニマルニュートリション部
世話人:塔ノ上 毅(住友化学株式会社 国際アグロ事業部 アニマルニュートリション部)
演者:新里 出(住友化学株式会社 国際アグロ事業部 アニマルニュートリション部)
主旨:
クレアチンは主に筋肉中に存在し、エネルギー(ATP)の貯蔵、供給をつかさどる重要な栄養素です。クレアチンの前駆体であるクレアミノ™(飼料添加物名:グアニジノ酢酸)を飼料に添加し、家畜への効率的なクレアチン補給を実現することによって様々な有用性が期待できます。
ブロイラー飼料へのグアニジノ酢酸の添加は、育成成績を改善するほか、飼料中の代謝エネルギーやアルギニンを節約する効果をもたらすことが知られています。また近年、異常硬化胸肉の重症度の低減や、暑熱環境下における成績低下を抑制する効果も報告されています。
グアニジノ酢酸による効率的なクレアチン補給は他畜種においても有効と考えられ、肥育豚の育成成績、母豚における繁殖成績、あるいは種鶏の繁殖成績改善などを示唆する研究報告もあります。本セミナーではブロイラーを中心に、グアニジノ酢酸が家畜栄養にもたらす有用性をご紹介します。
*2025年4月現在、グアニジノ酢酸は日本国内においてブロイラー用飼料添加物として指定を受けていますが、諸外国では種鶏、採卵鶏、養豚飼料での活用も始まっていることから、今後、国内においても畜種指定拡大が進むことが期待されます。