講演情報
[S-2]保存期慢性腎臓病患者における運動の重要性認識度と指導遵守の実態調査
*音部 雄平1 (1. 大阪公立大学 大学院リハビリテーション学研究科)
キーワード:
慢性腎臓病、運動・身体活動、運動指導遵守
【はじめに・目的】
慢性腎臓病(CKD)患者における運動・身体活動は、腎機能維持や心血管疾患予防に有効とされているが、その重要性の認識度や運動指導の遵守状況に関する定量的データは限られており、本研究ではその実態を明らかにすることとした。
【方法】
本研究はWebアンケートを用いた横断研究である。対象は医師によりCKDと診断された50歳以上の患者とし、腎代替療法経験者や直近1年以内の腎機能データ提出が困難な者は除外した。調査項目は、年齢、性別、eGFR、併存疾患、基本チェックリストで判定したフレイルの有無とした。CKD治療における運動の重要性の認識度は「よく知っている・やや知っている・あまり知らない・全く知らない」の4件法で評価し、「よく知っている・やや知っている」と回答した者には、その情報源として当てはまるものを全て選択させた。また、医療者から運動指導を受けた経験の有無を尋ね、経験がある者にはその遵守状況を「ほぼ完全に遵守している・だいたい遵守している・あまり遵守できていない・指導は受けたがよくわかっていない」の4件法で回答させた。統計解析は記述統計に加え、遵守が不十分な者の特徴を修正ポアソン回帰で探索的に検討した。
【結果】保存期CKD患者285名 (年齢67.9歳、eGFR40.7)のうち、71名 (24.9%)がフレイルであった。CKD治療における運動の重要性を「よく知っている・やや知っている」と回答した者は207名 (72.7%)であり、その情報源は「医師」が70.1%と最多で、次いで「インターネット記事」が33.3%、「理学療法士」はわずか4.4%であった。また、運動指導を受けた経験がある者は204名(71.6%)であったが、そのうち「あまり遵守できていない・よくわかっていない」と回答した者は75名 (36.8%)であった。さらに運動指導の遵守が不十分だった者の特徴としてフレイルであることが抽出された (リスク比: 1.70, 95%信頼区間: 1.19–2.43)。
【結論】多くの患者がCKD治療における運動の重要性を認識していた一方、運動指導の専門家である理学療法士からの情報提供は非常に乏しかった。また、運動指導を受けた者でも、フレイルを有する者は十分に遵守できていない実態があり、理学療法士のCKD治療チームへの積極的な参画や、患者個々の状態を加味した運動介入戦略が求められた。
倫理的配慮:
本研究は、大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科研究倫理委員会の承認を得て、ヘルシンキ宣言の倫理的原則に則り実施された (承認番号: 2023-129)。 Webアンケートの開始前に、画面上に研究目的、協力に関する権利、協力内容、研究協力者に対して予測される利益・不利益、個人情報の取り扱いに関する説明文を表示し、内容を確認のうえ「同意する」にチェックを入れた参加者のみを対象に回答を依頼した。
慢性腎臓病(CKD)患者における運動・身体活動は、腎機能維持や心血管疾患予防に有効とされているが、その重要性の認識度や運動指導の遵守状況に関する定量的データは限られており、本研究ではその実態を明らかにすることとした。
【方法】
本研究はWebアンケートを用いた横断研究である。対象は医師によりCKDと診断された50歳以上の患者とし、腎代替療法経験者や直近1年以内の腎機能データ提出が困難な者は除外した。調査項目は、年齢、性別、eGFR、併存疾患、基本チェックリストで判定したフレイルの有無とした。CKD治療における運動の重要性の認識度は「よく知っている・やや知っている・あまり知らない・全く知らない」の4件法で評価し、「よく知っている・やや知っている」と回答した者には、その情報源として当てはまるものを全て選択させた。また、医療者から運動指導を受けた経験の有無を尋ね、経験がある者にはその遵守状況を「ほぼ完全に遵守している・だいたい遵守している・あまり遵守できていない・指導は受けたがよくわかっていない」の4件法で回答させた。統計解析は記述統計に加え、遵守が不十分な者の特徴を修正ポアソン回帰で探索的に検討した。
【結果】保存期CKD患者285名 (年齢67.9歳、eGFR40.7)のうち、71名 (24.9%)がフレイルであった。CKD治療における運動の重要性を「よく知っている・やや知っている」と回答した者は207名 (72.7%)であり、その情報源は「医師」が70.1%と最多で、次いで「インターネット記事」が33.3%、「理学療法士」はわずか4.4%であった。また、運動指導を受けた経験がある者は204名(71.6%)であったが、そのうち「あまり遵守できていない・よくわかっていない」と回答した者は75名 (36.8%)であった。さらに運動指導の遵守が不十分だった者の特徴としてフレイルであることが抽出された (リスク比: 1.70, 95%信頼区間: 1.19–2.43)。
【結論】多くの患者がCKD治療における運動の重要性を認識していた一方、運動指導の専門家である理学療法士からの情報提供は非常に乏しかった。また、運動指導を受けた者でも、フレイルを有する者は十分に遵守できていない実態があり、理学療法士のCKD治療チームへの積極的な参画や、患者個々の状態を加味した運動介入戦略が求められた。
倫理的配慮:
本研究は、大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科研究倫理委員会の承認を得て、ヘルシンキ宣言の倫理的原則に則り実施された (承認番号: 2023-129)。 Webアンケートの開始前に、画面上に研究目的、協力に関する権利、協力内容、研究協力者に対して予測される利益・不利益、個人情報の取り扱いに関する説明文を表示し、内容を確認のうえ「同意する」にチェックを入れた参加者のみを対象に回答を依頼した。
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