講演情報
[S-3]糖尿病モデルラットにおけるアスタキサンチンの酸化ストレス抑制と骨格筋保護効果
*田中 雅侑1,2,3、金指 美帆2、中西 亮介3,4、藤野 英己3 (1. 岡山医療専門職大学 健康科学部 理学療法学科、2. 県立広島大学 保健福祉学部 保健福祉学科、3. 神戸大学大学院 保健学研究科、4. 神戸国際大学 リハビリテーション学部 理学療法学科)
キーワード:
糖尿病、骨格筋、酸化ストレス
【はじめに、目的】糖尿病では慢性的な高血糖や耐糖能異常により酸化ストレスが亢進し、骨格筋では毛細血管退行、ミトコンドリア機能障害、タンパク質代謝異常などが生じ、筋萎縮を招く。酸化ストレス制御は、糖尿病に関連する病態の予防戦略として有効性が期待されているが、ビタミンEやβカロテンなど従来型抗酸化剤を用いた臨床試験では十分な効果が得られていない。一方、アスタキサンチン(AX)は細胞膜を貫通する独自の構造により、細胞全体を保護する抗酸化能力に優れるほか、ミトコンドリア機能を調節する独自の作用機序も有する。本研究では、従来型抗酸化剤とは異なる作用特性を有するAXが、糖尿病モデルラットの骨格筋障害に及ぼす影響を検証した。
【方法】雄性Wistar系ラットにストレプトゾトシン(STZ、50 mg/kg)を尾静脈内投与して、糖尿病モデルを作製し、AX(50 mg/kg)を1日2回強制経口投与する群(AX群)と、非投与群(DM群)を設定した。STZ非投与の同週齢ラットを非糖尿病対照群とした。6週間後に足底筋を摘出し、HE染色で筋線維横断面積、ジヒドロエチジウム染色で酸化ストレス、アルカリフォスファターゼ染色で毛細血管数、酵素活性測定によりクエン酸合成酵素(CS)活性を評価した。さらにWestern blot法で筋タンパク質合成・分解経路とアポトーシス関連因子の発現量を解析した。群間比較は一元配置分散分析後、Tukey–Kramer法で多重比較し、有意水準は5%未満とした。
【結果】DM群では空腹時血糖値が上昇し、骨格筋の酸化ストレス亢進、毛細血管退行、CS活性低下、筋タンパク質合成経路の低下、分解経路・アポトーシス関連因子の増加が認められた。これらの変化に伴い、筋重量と筋線維横断面積が低下した。一方、AX群では高血糖と合成経路の低下を除き、全評価指標で改善が認められた。
【結論】アスタキサンチンは糖尿病性骨格筋における酸化ストレスを低減し、毛細血管構造やミトコンドリア機能を保護するとともに、筋タンパク質分解の亢進を抑制し、筋萎縮を軽減したが、合成経路の改善には至らなかった。筋タンパク質合成の促進にはレジスタンス運動などの機械的刺激が有効であり、酸化ストレス制御との併用による相乗効果が期待される。今後は併用効果を検証し、糖尿病患者の機能維持・改善に資する理学療法的戦略の基盤構築を目指す。
倫理的配慮:
本研究は神戸大学動物実験委員会の承認を得て実施した(承認番号:P130902)。
【方法】雄性Wistar系ラットにストレプトゾトシン(STZ、50 mg/kg)を尾静脈内投与して、糖尿病モデルを作製し、AX(50 mg/kg)を1日2回強制経口投与する群(AX群)と、非投与群(DM群)を設定した。STZ非投与の同週齢ラットを非糖尿病対照群とした。6週間後に足底筋を摘出し、HE染色で筋線維横断面積、ジヒドロエチジウム染色で酸化ストレス、アルカリフォスファターゼ染色で毛細血管数、酵素活性測定によりクエン酸合成酵素(CS)活性を評価した。さらにWestern blot法で筋タンパク質合成・分解経路とアポトーシス関連因子の発現量を解析した。群間比較は一元配置分散分析後、Tukey–Kramer法で多重比較し、有意水準は5%未満とした。
【結果】DM群では空腹時血糖値が上昇し、骨格筋の酸化ストレス亢進、毛細血管退行、CS活性低下、筋タンパク質合成経路の低下、分解経路・アポトーシス関連因子の増加が認められた。これらの変化に伴い、筋重量と筋線維横断面積が低下した。一方、AX群では高血糖と合成経路の低下を除き、全評価指標で改善が認められた。
【結論】アスタキサンチンは糖尿病性骨格筋における酸化ストレスを低減し、毛細血管構造やミトコンドリア機能を保護するとともに、筋タンパク質分解の亢進を抑制し、筋萎縮を軽減したが、合成経路の改善には至らなかった。筋タンパク質合成の促進にはレジスタンス運動などの機械的刺激が有効であり、酸化ストレス制御との併用による相乗効果が期待される。今後は併用効果を検証し、糖尿病患者の機能維持・改善に資する理学療法的戦略の基盤構築を目指す。
倫理的配慮:
本研究は神戸大学動物実験委員会の承認を得て実施した(承認番号:P130902)。
コメント
コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン
