講演情報

[O-2-3]糖尿病教育入院患者の2ステップ値に関連する因子の検討

*伊東 憂郁1、筆保 健一2、関川 清史1、坂井 真菜美1、上田 透1、中里 陽介1、大藪 由照1、秀嶋 絵理子1,3、山口 史子1,3 (1. 大阪府済生会茨木病院 第二診療部 リハビリテーション科、2. 大阪医科薬科大学病院 リハビリテーション科、3. 大阪府済生会茨木病院 診療部 糖尿病・内分泌内科)
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キーワード:

2ステップテスト、2型糖尿病

【はじめに、目的】ロコモティブシンドロームは、運動器の障害によって移動機能が低下した状態であり、高齢者の要介護リスクを高める要因とされる。評価法の1つである2ステップテストは、歩行速度や6分間歩行距離などの歩行能力との相関関係が報告されており、歩行能力を簡便に評価できる指標である。2型糖尿病患者においては、神経障害や筋力低下、足関節可動域制限などが生じやすく、2ステップテストの結果に影響しやすいことが予測される。そこで本研究は2ステップ値に関連する因子を検討することを目的とした。【方法】対象は2025年4月〜2025年8月の期間に当院に教育入院となり、リハビリテーション科に介入依頼のあった患者連続23名とした。データ欠損のあった1例は除外した。年齢は中央値72歳(四分位範囲54-79)歳、女性6名(29%)であった。2ステップ値を目的変数とし、年齢、BMI、握力、膝伸展筋力体重比、下腿周径、足関節背屈角度、Michigan Neuropathy Screening Instrument、振動覚、HDS-R、身体活動量を説明変数として相関関係を求めた。また、症例数が限られているため、説明変数を性別に限定して調整を行った。統計解析にはSpearmanの順位相関係数を用いた。全ての因子を性別で調整するため、性別を共変量として投入した線形回帰モデルを用いた。各統計解析における有意水準は5%とした。【結果】本研究の2型糖尿病患者における2ステップ値は1.09(1.00-1.25)であった。2ステップ値と膝伸展筋力体重比(ρ=0.60,P=0.005)および握力(ρ=0.66,P=0.002)には有意な相関関係を認めた。線形回帰モデルの結果、膝伸展筋力体重比(β=1.08,P=0.02)および握力(β=0.02,P=0.02)、足関節背屈角度(β=0.02,P=0.02)、HDS-R(β=0.02,P=0.04)が性別とは独立して2ステップ値と関連する因子であった。【結論】本研究において、2ステップ値は性別とは独立して膝伸展筋力体重比、握力、足関節背屈角度、HDS-Rとの間に関連性を認めた。2型糖尿病患者において歩行中の足関節背屈角度が減少することが指摘されているが、本研究の結果より、2ステップテストにおいても足関節背屈可動域が関連する可能性が示唆された。

倫理的配慮:
本研究発表を行うにあたり、ご本人に口頭・同意書にて確認をし、本研究以外では使用をしないこと、それにより不利益を被ることはないことを説明し、回答をもって同意を得たこととした。また、本研究は大阪府済生会茨木病院倫理委員会の承認を得て実施された(承認番号:2024-17)。

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