講演情報

[O-2-5]糖尿病を有し,上下肢の壊死性筋膜炎により両上肢切断と右下肢植皮術を施行された一症例について 〜独歩獲得に至るまでの経過〜

*西澤 肇1、平木 幸治1、永冨 彰仁2、佐々木 信幸2 (1. 聖マリアンナ医科大学病院 リハビリテーションセンター、2. 聖マリアンナ医科大学病院 リハビリテーション科)
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キーワード:

四肢切断、壊死性筋膜炎、症例報告

【はじめに】糖尿病では,末梢神経障害と血流障害の影響で下肢潰瘍,感染症,壊疽を引き起こし下肢の切断に繋がる.糖尿病による切断は主に下肢切断となることが多く,上肢切断は稀である.この切断の原因となる感染症の一つに壊死性筋膜炎がある.糖尿病に合併した壊死性筋膜炎は重篤化し致死率も高い.今回,壊死性筋膜炎により両上肢の切断に加え,右下肢のデブリードマン・植皮術を施行した症例のリハビリテーションを経験したため報告する.【症例】基本情報:40歳代,男性,身長:175cm 体重:95kg(入院時),入院前ADLは全て自立.診断名:壊死性筋膜炎,既往歴:糖尿病,高血圧,脂質異常症,痛風,緑内障.X日に発熱と両上下肢の腫脹・疼痛を認め前医に受診.X+3日に当院へ転院,人工呼吸器管理及び上下肢の減張切開を施行.X+25日に左上腕切断.X+79日に右前腕切断.右下肢は壊死性筋膜炎により計3回デブリードマンを実施し,X+90日右下肢植皮術を施行.X+315日に義手作成目的に転院.【理学療法介入】救命センター入院中のベッド上から介入.植皮後の影響により端座位までしか行えない時期もあった.X+101日から車椅子離床開始だったが,疼痛により難渋し,井浦式車椅子も併用し離床していた.その時点での身体機能はMMT2レベル,ROMは両膝屈曲制限,足関節は尖足位で拘縮となっていた.X+169日から訓練室でのリハビリに移行したが,訓練室に移行後も疼痛が強く,荷重できない時期が長くなっていた.X+213日から歩行練習が開始でき,X+245日から介助なしでの歩行も行えるようになり,院内付き添い歩行をX+263日に達成できた.転院までには階段昇降も行えるようになった.【考察】糖尿病・壊死性筋膜炎により両上肢を切断する症例は非常に稀であり,さらに右下肢もデブリードマン・植皮術を行うまで重症であった.壊死性筋膜炎の死亡率が高く重篤な疾患であり,機能予後も不良であることが知られている.その中で本症例は歩行自立,階段昇降まで行えるようなり,ADLを大きく回復した症例である.その要因として,理学療法の工夫だけではなく,多職種での精神的なサポートにより,治療に前向きな姿勢が確立できたと考える.【倫理的配慮】発表について本症例に口頭にて説明し同意を得た.なお症例報告のため症例にとって不利益となる個人情報は記載しない.


【結論】

倫理的配慮:
【倫理的配慮】

発表について本症例に口頭にて説明し同意を得た.なお症例報告のため症例にとって不利益となる個人情報は記載しない.

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