講演情報
[P-4-5]回復期病棟での栄養サポートチームによる栄養療法とSGLT2阻害薬の関係性
*井上 真聡1,4、永野 彬人1,4、保坂 咲良1、榎本 広野2、篠田 沙央理1,4、松井 遥4、中村 晃洋4、三井 奈緒4、高橋 悠4、池田 崇3,5 (1. 昭和医科大学藤が丘リハビリテーション病院 リハビリテーションセンター、2. 昭和医科大学病院 リハビリテーション部、3. 昭和医科大学 保健医療学部、4. 昭和医科大学リハビリテーション病院栄養サポートチーム、5. 名古屋市立大学 医学部 保健医療学科 リハビリテーション学専攻)
キーワード:
SGLT2阻害薬、エネルギー出納、栄養療法
【はじめに】SGLT2阻害薬を服用している場合には,肝臓での糖新生が亢進しており,タンパク質摂取が不足すると,骨格筋からの糖原性アミノ酸供給が増加するため,サルコペニアに注意が必要であるとされている.回復期病棟におけるNSTの栄養療法はSGLT2阻害薬を使用した際ではエネルギー不足からFIM実績指数に影響を与えていると考える.従来の低栄養患者に対する栄養療法にSGLT2阻害薬の有無による影響を証明できれば早期からエネルギー充足が可能となり,実績指数の改善に繋がる.本研究ではSGLT2阻害薬と栄養療法の関係性を明らかにすることである.【方法】2023年4月から2024年1月に回復期病棟に入棟した患者の内,糖尿病を有している方かつNSTで栄養評価した60名(男33:女27)を対象とし,SGLT2阻害薬の有無により2群で分けた.2群間で年齢,BMI,HbA1c,随時血糖値,エネルギー出納,CRP,摂食量,基礎代謝量,薬剤内服数,FIM実績指数をt検定を用いて比較した.疾患,性別,悪液質の有無,嚥下障害の有無,腹部症状の有無,認知機能低下の有無は,カイ二乗検定を用いて比較した.目的変数にSGLT2阻害薬,説明変数に有意差が出た変数を投入した多変量ロジスティック回帰分析を行った.【結果】2群比較でSGLT2使用群はFIM実績指数が有意に高く,CRP,エネルギー出納が有意に低い結果となった.カイ二乗検定で性別,悪液質に有意差を認めた.多変量ロジスティック回帰分析の結果,エネルギー出納(OR:2.03),性別(OR:1.58),悪液質(OR:1.04)が有意な因子として抽出された. 【考察】SGLT2阻害薬には,エネルギー換算すると 250 kcal/day 程度の糖を尿中に排泄することから体重減少効果も期待されている.エネルギー出納は入院から1週間で評価しており,以前からSGLT2阻害薬を内服したことでエネルギー出納が低値になったことが考えられる.また,内服する際はサルコペニアに留意するため筋肉量が多い男性や悪液質が無い方に処方される傾向にあることが分かった.今回は,エネルギー出納は低値になるものの実績指数は高くなり仮説と反する結果となった.【結論】SGLT2阻害薬を処方されている方は入院時よりエネルギー出納が低値になる傾向にあるため,入院早期より栄養管理が必要であることが示唆された.
倫理的配慮:
ヘルシンキ宣言に基づき、昭和医科大学倫理審査の承認を得た。
(承認番号:2024-070-B)
倫理的配慮:
ヘルシンキ宣言に基づき、昭和医科大学倫理審査の承認を得た。
(承認番号:2024-070-B)
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