講演情報

[21-1120-1add]高齢者の身体活動管理

牧迫 飛雄馬 (鹿児島大学 医学部保健学科理学療法学専攻 基礎理学療法学講座 教授
国立長寿医療研究センター予防老年学研究部 客員研究員
放送大学 客員教授)
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2001 年 :国際医療福祉大学病院リハビリテーション科
2003 年 :板橋リハビリ訪問看護ステーション
2008 年 : 札幌医科大学保健医療学部介護予防人材教育センター 特任助教
2010 年 :独立行政法人国立長寿医療研究センター 認知症先進医療開発センター
      在宅医療・自立支援開発部 自立支援システム開発室 流動研究員
2011 年 :日本学術振興会特別研究員 PD
       国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター
      自立支援開発研究部 自立支援システム開発室 外来研究員
2013 年 :Postdoctoral Research Fellow, Aging, Mobility, and Cognitive Neuroscience Laboratory, University of British Columbia
2014 年 :国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター
     予防老年学研究部 健康増進研究室 室長
2017 年 ~現職
個人にとって望ましい水準と考えられる身体活動を促進するために運動方法や生活習慣を指導することは、理学療法士の重要な役割のひとつである。その対象は子どもから高齢者まで幅広いライフステージに及び、脳血管疾患の他、心疾患、腎疾患、糖尿病などの内部障害患者においても身体活動の維持・向上がさまざまな機能的な予後や重度化を予防するうえで有益となる。
 身体活動とは安静時よりも多くのエネルギーを消費するすべての動作を指し、「運動」と「生活活動」によって構成され、「身体活動=運動+生活活動」と考えられる。つまり、意図的に行う運動のみが身体活動を意味するのではなく、日常生活におけるさまざまな身体を動かす行動を含むため、身体活動量を適切に評価し、身体活動量の増大および適切な管理を促すうえでは、運動のみならず生活活動を考慮することが重要となる。
 身体活動量の適切な管理を図るうえでの戦略としては、運動の習慣化を促進することと生活活動での身体活動を促進することの両面からのアプローチを考慮することがポイントとなる。適切な身体活動量の管理を促すことの主たる目的は、適度な身体活動量を有することで将来の生活習慣病等の発症リスクを低減させ、さらには個々人の生活の質を維持・向上させて、その人らしい人生を全うするための健康状態を維持することにつなげることと考える。そのために不適切な身体活動の対象者においては適切な身体活動量による生活習慣を身につけてもらい、その状態を維持・継続するための支援につながる指導が必要となり、適切な身体活動量を獲得して継続するための行動変容の視点も重要となる。
 厚生労働省の「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」では、年齢に関係なく、今よりも10分多く毎日体を動かすこと(プラス10[テン])を呼びかけ、少しでも身体を動かす機会を増やすことを推奨している。しかし、これらの効果を短期間で実感することは容易ではなく、身体を動かす機会を継続することが課題と考える。個人の身体活動量に対する目標設定や継続する意欲の維持のためにもウェラブルデバイスを適切に活用することも自助の補助として有用であろう。

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