講演情報

[P-9-6]生体腎移植前に減量を目的とした多職種介入を実施した維持透析患者の一症例

*居村 修司1、谷村 里恵2、釋迦堂 可奈2 (1. 岸和田徳洲会病院リハビリテーション科、2. 岸和田徳洲会病院看護部)
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キーワード:

腎移植前運動療法、多職種介入

【はじめに】日本における腎移植数は増加傾向にあり、2023年は2001例(生体腎:1753例、献腎:248例)の腎移植が実施されている。移植後の管理は重要であり、腎移植後の運動療法の意義は高いとされてきているが移植前の介入報告は少ない。今回、生体腎移植前に減量を目的とした多職種介入を実施した維持透析患者を担当したためここに報告する。
【症例】40歳代女性。糖尿病性腎症と多発性腎嚢胞により、介入1年半前より血液透析開始。透析開始前より腎移植の希望があり、薬剤・栄養管理指導等が実施されていたが、食生活や運動習慣等の管理が不十分であるとされ減量を指示されていた。介入時のドライウェイトは74.0kg、BMI27.5であった。
【結果】看護師、管理栄養士、薬剤師、公認心理師と理学療法士でチームを構成し介入開始となった。元来運動習慣は乏しく、活動量としては2,000歩/日程度であった。看護師を中心に患者とともに目標設定をし、各職種で具体的な介入を実施した。運動療法として、透析中や自宅でのレジスタンストレーニング、非透析日の有酸素運動を指導した。週に1度の確認と月に1度の体力測定、月に2度のチーム内カンファで情報共有し、目標修正等を重ねつつ介入開始後7か月で腎移植へと至った。ドライウェイトの変化は-0.2kgであったが、食生活面では1日1食摂取から、カロリーや栄養バランスを考慮した3食摂取へと修正された。身体機能面でも下肢筋力、6分間歩行距離、歩行速度の上昇がみられ、活動量は10,000歩/日程度となった。また、介入前と比較すると透析前体重が有意に低く(77.36kg vs 75.97kg, P<0.01)、ドライウェイトからの変化量も有意に小さく(3.36kg vs 2.16kg, p<0.01)なった。自覚的にも透析後疲労感は軽減し、運動へのモチベーションは維持されていた。
【考察】減量目標には及ばなかったが、元来運動習慣がない状況から運動習慣が身に付き、食事量を増やした後も体重の増加量は低く維持ができていたと考える。維持透析患者においては、65歳未満の活動度が高い群であっても運動習慣は乏しいとされており、腎移植後の管理にも悪影響があると思われる。本症例を通して、移植前から運動療法も含めた多職種介入を実施していくことで移植後の管理にも良い影響を与えることができるのではないかと考えられる。

倫理的配慮:
【倫理的配慮】

本発表に際し、ヘルシンキ宣言に則り、患者本人に口頭及び文書での説明を実施し、文書への署名にて同意を得た。

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