講演情報
[PB-80]外交手段としてのデザイン1959年アメリカ博覧会におけるイームズ夫妻の展示「アメリカの一日」
*菅 靖子1 (1. 津田塾大学)
キーワード:
イームズ夫妻、文化冷戦、アメリカ博覧会(1959年)
1959年に開催されたモスクワ博覧会は、アメリカとソ連が互いの生活水準の高さを競い合った「文化冷戦」における極めて重要な舞台であった。米国情報局(USIA)のジャック・メイシーは、アメリカの国家イメージを効果的に発信するため、デザイン界の巨匠であるイームズ夫妻を起用した。 彼らが制作した映像作品の展示「アメリカの一日」は、7つの巨大スクリーンを使用し、2,200枚を超える膨大な写真とエルマー・バーンスタインによる音楽を完全に同期させた革新的な展示であった。この作品の主眼は、アメリカの圧倒的な産業力を誇示するだけでなく、ソ連の市民に対しても親近感を抱かせる「共通性」を提示することに置かれていた。 イームズ夫妻は、デザインを単なる装飾ではなく「生きるための技術」という包括的な視点で捉えていた。この人間中心のアプローチを通じて、彼らは文化外交としての役割を果たそうと試みたのである。しかしその一方で、この洗練されたデザインは、国家の意図を汲んだ強力なプロパガンダとしての機能を担っていたという、複雑な側面も併せ持っている。
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