第1回日本小児在宅医学会学術集会

呼びかけの言葉

呼びかけの言葉

皆さまの、こどもときょうだい、家族に関わる日々のご活動に、心より感謝申し上げます。
さて、これまで皆さまにご参加いただいておりました日本小児在宅医療支援研究会は、2025年度より「日本小児在宅医学会」として開催することになりました。

人工呼吸器や経管栄養など、在宅で暮らす医療的ケアが必要なこども(医療的ケア児)が増えています。自宅で暮らす小児がんのこどももいます。こどもの状態は多様で、動けないこどもから、走れるこどもまでいます。スマートフォンを操るこどももいます。新しい治療や医療的ケアの手段も増えており、それぞれの地域の受け皿も一様ではありません。

これまで在宅医療は、こどもたちが暮らす家に訪問し、病院医療とも連携しながら、本人ときょうだい、家族の暮らしによりそってきました。しかし、こどもたちの暮らしは医療だけで支えることはできません。そこに多職種が関わることで、体調が安定し、こどもは遊び、学び、育っていきます。

2021年に施行された医療的ケア児支援法により、世の中は大きく変化しています。保育園等と学校では、医療的ケア児の受け入れが進んでいますが、まだ現場は手探り状態です。また、小児がんだけでなく、生命の危機に瀕している状態が続くこどもたちにとって、「緩和ケア」は重要な課題です。さらに、ひとり親家庭やネグレクトなど、社会的支援が必要なこどもも増えてきています。やがて、こどもは成人期を迎えますが、移行期医療を誰が担うのか、社会参加、そして自立に向けた意思決定支援についても、真摯に向き合っていく必要があります。

それぞれの地域で長く小児在宅医療に関わってきた医師に続き、今では多くの若い医師が在宅医療を始めています。若い医学生や多職種の学生も興味を持ち、中には早くからこどもと家族に関わる活動を始める人たちもいます。そこに私たちは、未来への希望を感じます。次の世代の人たちが、さらに学びを深められるよう、小児在宅医療に関連する分野の研究と教育、普及活動、他学会との連携は欠かせません。これらの課題に取り組むためには、各地で、この分野に関わる次の担い手を増やし、多職種がそれぞれのプロフェッショナリズムを追求する必要があります。

対面開催ですので、ぜひ、東京に集い、学びと、多職種の交流を深めていただきたいと思います。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。

 

2025年3月吉日

大会長 髙橋昭彦 
ひばりクリニック
認定特定非営利活動法人うりずん
栃木県医療的ケア児等支援センターくくるん

副大会長 宮田章子
医療法人社団さいわいこどもクリニック

副大会長 前田浩利
医療法人財団 はるたか会