講演情報

[KHK1]細胞治療領域で未来の臨床検査技師に求められるビジョンひらかれる臨床検査の新しいフィールド

*水村 真也1、髙橋 典子2、五十嵐 靖浩3 (1. 虎の門病院輸血・細胞治療部 細胞治療科 2.がん研究センター中央病院 臨床検査科 輸血管理室 3.慶應義塾大学病院 臨床検査技術室 輸血・細胞療法センター)
血液細胞(幹細胞等)に関する操作は法改正前よりタスク・シフト/シェアが推進され、血液製剤や細胞治療の管理等に関する専門的な知識・技術を有する臨床検査技師を積極的に活用することが推奨されている。細胞治療領域の業務は臨床検査技師の担う業務の中では比較的認知度が低い分野と思われるが、細胞治療全体を通して臨床検査技師の役割は重要で、未来の臨床検査技師にとっても希望とやりがいのある分野なのではないかと考える。本シンポジウムでは、普段輸血・細胞治療にあまり携わっていない方にも細胞治療領域の業務をより身近に感じてもらうこと、また、今後細胞治療領域へ参入するご施設の参考にしていただけることを目指し「細胞治療関連検査」「細胞の採取・調製・管理」「再生医療等製品と臨床検査技師の関わり」の3つのテーマで解説する。
【演題1:細胞治療関連検査 -造血幹細胞移植関連検査の特徴と解釈-】造血幹細胞移植後、患者体内ではどのように血球が入れ替わるのか。血液型の経時的な変化、輸血製剤の選択と必要な検査等、造血幹細胞移植に関連する検査と結果の特徴について解説する。
【演題2:細胞の採取・調製・管理 -細胞治療と臨床検査技師の仕事-】細胞の採取・調製・管理の現場で臨床検査技師はどのような業務を行っているのか。細胞採取、細胞治療用製剤の保管方法、製剤の解凍輸注、CAR(キメラ抗原受容体)-T細胞療法など細胞治療の現場における臨床検査技師の業務や他職種との関わりを現場の写真や動画を用いて解説する。
【演題3:再生医療等製品と臨床検査技師の関わり -新しい管理体制の構築-】細胞治療の現場でなぜ臨床検査技師が重宝されるのか。再生医療に関する3つの法律が2013年から2014年にかけて施行され、再生医療等製品を取り扱う現場では医薬品と同等の品質保証が要求されるようになった。ISO 15189を通じQMSの概念を理解する臨床検査技師は、各施設でGMP/GCTPやFACT-JACIEの概念、ISO 9001に準じた文書を管理し、細胞治療を実施するための環境や体制を整備・構築している。再生医療等製品を取り扱うため我々臨床検査技師に求められてきた役割、未来のビジョンについて解説する。