講演情報
[LS2]臨床研究における生命倫理の考え方、扱い方
*松井 啓隆1 (1. 国立がん研究センター中央病院 臨床検査科)
検査室は毎日相当数の検査検体(試料)を受け取り、測定して結果を手にしている。むろん、臨床検査技師の役割は実際に測定を行うとともに、その測定が正しく行われたこと、すなわち精度が保証されていることを示すことにあるが、一方で当然ながら、得られた検査結果に何らかの疑問を感じたり、特異な、あるいは予想と異なる測定値を示した試料の背景に興味を抱いたりすることも多いはずである (そうした経験の無い検査技師は皆無であろう)。それこそが研究の出発点であるわけだから、全ての検査技師はすでにスタート地点に立っている。そこから前に進んでいくかどうかは各自が考え決めることであるが、個人的には進まないという選択肢は無いと思っている。我々は、それぞれの立場から出来る限り適切な医療を提供する責務を負っているが、その一方で専門的な立場から知的好奇心を満たすことのできる無限の機会を得てもいる。スケールの大小や技術レベルの高低はあるにせよ、そうした機会を活かさない手はないだろう。医療の発展のためなどという高邁な建前を述べ正当化することももちろん必要だが、取りも直さず、興味や疑問を持つこととそれを解決しようとしてみることを楽しむことが何より大事だと思うし、日常業務の充実化にもつながる気がする(自分の知的好奇心を満たしつつ、それが社会にも役立つかもしれないなど、なんて役得染みた幸運なことなんだろうと思う)。
とはいえ、患者さん由来の試料を用いるにあたっては一定の制約が存在する。現在の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」はR5年3月に改正されたもので、今後も個人情報の保護に関する法律などの改正を受け、手が加えられていくはずである。生命科学研究を行うにあたっての留意事項を理解し、是非存分に研究活動に励んでいただきたい。講演では、これまでの倫理指針の変遷や最新の倫理指針を概説し、患者試料・情報を用いた研究を推進するための有り方についてともに考えたい。
とはいえ、患者さん由来の試料を用いるにあたっては一定の制約が存在する。現在の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」はR5年3月に改正されたもので、今後も個人情報の保護に関する法律などの改正を受け、手が加えられていくはずである。生命科学研究を行うにあたっての留意事項を理解し、是非存分に研究活動に励んでいただきたい。講演では、これまでの倫理指針の変遷や最新の倫理指針を概説し、患者試料・情報を用いた研究を推進するための有り方についてともに考えたい。
