講演情報

[GP23]異メーカー製キャリブレーター/コントロールの組み合わせが精度管理に及ぼす影響キャリブレーター/コントロール同一メーカー構成との比較検討

*大井 甚哉1、岡田 英美里1、星野 眞理1、佐野 駿樹1、宮良 幸千代1 (1. 結核予防会 複十字病院)
【はじめに】
ADA(アデノシンデアミナーゼ)は肝胆道系疾患、造血器腫瘍、伝染性単核症、癌、結核の鑑別診断に用いられ、当院では胸水における癌性胸膜炎と結核性胸膜炎の鑑別の為、20件/月程度ではあるが臨床からの要望にこたえ院内で実施している。
【目的】
A社メーカーADA試薬を導入したもののキャリブレーター用標準物質と内部精度管理(以下QC)試料が同一メーカーで揃わず、精度管理試料の測定値は管理逸脱が多く、日々の内部精度管理に苦慮していた。そこで他2社(B、C社)の試薬及びQC試料について検討を行い内部精度管理上のコストを含めた実運用性を検討した。
【方法】
汎用自動分析装置(LABOSPECT008α)を用い、ADA測定における3社の試薬とQC試料について日差変動と管理図(X-R/S)における逸脱頻度を検討した。
①A社ADA試薬 A社Cal×B社QC試料
②B社ADA試薬、B社Cal×B社QC試料(キャリブレーターと同一品)
③C社ADA試薬 C社Cal×C社QC試料 およびQAP(シスメックス)
上記3つの組み合わせについて測定値の相関、QCの日差変動(CV%)管理図(X-R/S)における逸脱頻度(Westgardルール、測定回数を母数)を評価した。
【結果】A社とB社の相関 相関係数=0.8491
    B社とC社の相関 相関係数=0.9989
    日差変動(CV%)、管理図(X-R/S)における逸脱頻度
    ①A社QC日差変動(CV%) 低濃度=6.94% 1_2s警告逸脱49/119(41.18%) 高濃度=5.16% 1_2s警告逸脱15/117(12.8%)
    ②B社QC日差変動(CV%) 低濃度=5.20% 高濃度=1.69% 共に逸脱なし
    ③C社 n数が少なく継続検討中
【考察】今回の検討において、院内への導入は10年以上前で導入当初はB社の試薬を使用していたが何らかの事情でA社に変更、QC試料は継続使用していたことが判明した。明らかに①の組み合わせより②の組み合わせのほうがCVは安定しているが、キャリブレーターをQC試料として用いることは運用上相応しくないと考える。日々の精度管理に使用するQC試料のためマルチコントロールであるQAPのデータを検討している。
連絡先:複十字病院 検体検査科直通 042-491-9228