講演情報
[GP27]早朝尿と随時尿の尿検査所見の比較
*長谷部 雅1、加藤 初花1、佐藤 志哉1、新野 桜子1、熊川 由莉1、西澤 美穂子1、川上 保子1 (1. 新渡戸文化短期大学 臨床検査学科)
【緒言】尿は非侵襲的に採取可能な優れた検査材料であり、得られる生体情報は多く有用である。一般検査の講義において「一般的な尿検査では随時尿が用いられる。」また、採尿時間の分類においては随時尿の他に早朝尿があり、「早朝尿は検査に適している」と習った。早朝尿と随時尿の検査所見に差異は生じるかに疑問が生じ、早朝尿と随時尿の検査所見を比較検証することを目的とした。【対象】新渡戸文化短期大学 臨床検査学科 臨床生化学ゼミ所属の学生14名(男子4名、女子11名)から採取した早朝尿と随時尿を用いた。【方法】1. 尿定性検査:ウロペーパーⅢ10(栄研化学(株))を用いて10項目を測定した。2. 尿沈渣検査法:JCCLS尿沈渣検査法に従い尿沈渣を得た。3. 蛋白定量法:マイクロTPテストワコー(富士フィルム和光純薬(株))を用いた。【結果】1. 定性検査における早朝尿と随時尿の差異:10項目のうち、白血球では14例中10例が、潜血反応では3例が、蛋白質では3例が陽性化し、pHは14例中5例に低下が見られ、早朝尿pH 5.6±0.8、随時尿pH 5.1±0.3と随時尿で有意に低下した。また、比重は早朝尿1.019±0.005、随時尿1.023±0.004と随時尿で濃縮傾向であった。2.尿沈渣所見の比較において、沈渣量は早朝尿で3.9±3.3 mm、随時尿で5.9±3.4と随時尿で多い傾向であり、沈渣成分は早朝尿に比べて白血球、扁平上皮細胞、赤血球、細菌を多く認めた。3. 早朝尿は起立性蛋白尿を除外できることから差異が生じると考えられたため定量を試みたところ、早朝尿6.6±5.0 mg/dL、随時尿17.2±9.9 mg/dLと随時尿で有意に高値を示した。
【まとめ】早朝尿と随時尿の検査所見を比較したところ、定性検査では白血球、潜血、蛋白質が陽性化し、PH、比重の上昇が見られた。また尿沈渣所見でも白血球、扁平上皮細胞、赤血球、細菌が多く検出された。さらに、尿蛋白定量では随時尿で有意に高値を示した。尿試験紙では陰性を示すものがほとんどであった事からアルブミン以外の蛋白質の排泄が示唆された。一般的には随時尿が尿検査に使用されているが、尿検査には早朝尿が適するのではと考えられた。
【まとめ】早朝尿と随時尿の検査所見を比較したところ、定性検査では白血球、潜血、蛋白質が陽性化し、PH、比重の上昇が見られた。また尿沈渣所見でも白血球、扁平上皮細胞、赤血球、細菌が多く検出された。さらに、尿蛋白定量では随時尿で有意に高値を示した。尿試験紙では陰性を示すものがほとんどであった事からアルブミン以外の蛋白質の排泄が示唆された。一般的には随時尿が尿検査に使用されているが、尿検査には早朝尿が適するのではと考えられた。
