講演情報
[GP30]扁平上皮癌関連抗原測定試薬「ルミパルス®SCC」の基礎的検討
*北澤 玲菜1、生田 理紗1、小畑 靖幸1、森崎 舞衣子1、細山 夏実1、織内 宏枝1、細矢 睦子1、玉森 佳子1 (1. 地方独立行政法人東京都立病院機構 東京都立墨東病院)
【目的】SCC抗原は扁平上皮細胞において広く発現している蛋白質である.扁平上皮癌患者では血中濃度が高くなることから,治療効果の判定や経過観察に有用とされている.今回私たちはSCC抗原測定の院内導入に向けて,ルミパルスG1200を用いて化学発光酵素免疫測定法に基づいた試薬の基礎的検討を行ったので報告する.【対象】2025年6月から2025年7月の間にてSCCの測定依頼があった患者の残余血清.【機器・試薬】1)検討方法 機器:ルミパルスG1200,試薬:扁平上皮癌・SCCキット「ルミパルス®SCC」(富士レビオ株式会社),2)対照方法 機器:アーキテクトi2000SR,試薬:「SCC・アボット」(アボットジャパン合同会社).【方法】1)併行精度:コントロール2濃度及び残余血清(1名)をそれぞれn=10で測定した.2)室内再現性:小分け凍結したコントロール2濃度を水浴で10分間溶解し,n=2で6日間測定した.3)希釈直線性:低濃度のプール血清及びキャリブレーター高濃度の2濃度において10段階希釈を行った.4)相関性:血清97件を対象とし,標準主軸回帰式で確認した.乖離がみられた検体について,希釈直線性を確認した.5)検体の保存安定性:3名分の残余血清を小分け分注し,凍結(-80℃)および冷蔵(4℃)で保存し,それぞれ採血当日,1~7日後,14日後に測定を行った.採血当日と比較した変化率を算出した.【結果】1)各濃度とも変動係数(CV)は0.83~2.48%と良好であった.2)2濃度のCVは1.76~2.21%と安定していた.3)低濃度,高濃度共に良好であった.4)y=1.635x-0.316,相関係数r=0.9442であった.解離を認めた検体は2例あった.いずれの検体も希釈直線性が確認できた.5)凍結保存では測定を行ったいずれの日数においても変化率-10.7%~8.3%となった.一方冷蔵保存では,変化率-14.1%~15.6%となり凍結保存に比べ変動が大きかった.【考察】併行精度,室内再現性,希釈直線性,相関性において良好な結果が得られた.検体の保存安定性において,凍結保存では,変化率がおおむね10%以下であり良好な結果であった.一方、冷蔵保存では変化率の変動が大きく測定値に影響があった.よって院内導入の際には残余血清への追加測定依頼に対し,保存条件を設けることが必要だと考える.【連絡先】東京都立墨東病院 検査科 03-3633-6151(内)2510
