講演情報

[GP40]新規APTT測定試薬「コアグピア APTT-F」の性能評価

*橋本 紫乃1、長谷川 静夏1、三上 規予美1、須藤 瑞妃1、玉森 佳子1、前澤 順子1 (1. 地方独立行政法人東京都立病院機構 東京都立墨東病院)
【はじめに】現行ルチン試薬であるコアグピアAPTT-N(積水メディカル株式会社,以下APTT-N)は,ウサギ脳由来のリン脂質を成分としている.このAPTT-NではCRPが高値である場合にAPTTが延長する可能性があった.今回積水メディカル株式会社の合成リン脂質を成分とする新規APTT試薬,コアグピアAPTT-F(以下APTT-F)の基礎的検討を行った.【方法】被検試薬をAPTT-Fとし,対象試薬としてAPTT-Nを用いた.管理試料としてコアグトロールⅠX,ⅡX(シスメックス株式会社)を用いた.当院検査科に提出された3.2%クエン酸Na加血漿の残余検体(N=384)を用いて,以下の検討を行った.測定機器は血液凝固自動分析装置CP3000(積水メディカル株式会社,以下CP3000)を使用した.1)同時再現性:管理試料を連続10回測定しC.V.を算出した.2)日差再現性:標準的使用環境下において,CP3000にAPTT-Fを8日間開栓状態で設置し,C.V.を算出した.3)相関性: APTT-NとAPTT-Fの相関性を確認した.また,患者検体384件のうち,ヘパリン使用検体(N=27),DOAC服用検体(N=12),CRP 0.1以上検体(N=262)のデータを抽出し,それぞれの相関性も併せて確認した.【結果】1)同時再現性:管理試料それぞれのC.V.はAPTT-Fでは0.64%,0.82%,APTT-Nでは0.61%,0.95%であった.2)日差再現性:管理試料それぞれの測定値の変動は±4%以内であった.3)相関性:患者検体384体を測定した場合の回帰式及び相関係数はy=0.97x-0.095,r=0.6383であった.ヘパリン使用検体ではy=1.2x+0.057,r=0.7696であった.DOAC服用検体では,y=1.4x-7.097,r=0.906であった.CRP 0.1以上検体ではy=1.1x-4.587,r=0.5932であった.【考察】APTT-Fの基礎的性能は良好であった.CRP高値の検体では,一部の検体のみAPTTが延長し,APTTが延長する要因がCRP高値であるとは言い切れない結果となった.日常検査では試薬の特性を理解しながら業務を進めていきたいと考える.