講演情報
[GP41]当院の血小板凝集能検査機器変更による効果について
*酒寄 裕也1、渡辺 友浩1、亀田 梢1、増田 裕介1、簗瀬 典紘1、髙濱 秀弘1、末永 晴香1 (1. 社会医療法人河北医療財団 河北総合病院)
【はじめに】当院では従来、血小板凝集能検査にレーザー散乱光測定法を原理とする血小板凝集能測定装置PA-200(興和株式会社、以下PA200)を使用してきた。しかしPA200は操作が煩雑で、乏血小板血漿(platelet poor plasma, PPP)や多血小板血漿(platelet rich plasma, PRP)の作成を要し、科内業務の大きな負担となっていた。2024年4月に細口吸引圧法(SFP法)を用いるヘマトレーサーZEN(DSメディカル、以下HTZ)へ変更した。HTZはPPP・PRP作成が不要で食事の影響を受けず、簡便に測定可能である。今回は、機器変更の経緯とその効果について報告する。【血小板凝集能検査】血小板凝集能検査は、凝集惹起物質の存在下で血小板が凝集する過程いわゆる止血能力をみる検査である。血小板数が正常であっても出血時間が延長する機能低下疾患の診断に有用である。また、心筋梗塞や脳梗塞など血栓を引き起こしやすい機能亢進疾患に対する抗血小板薬治療の効果判定にも有用である。現状、当院では後者を目的とする依頼が大多数を占める。【経緯】PA200による検査は技術の習熟が必要であり、実施できる技師が限られていたことと食前の採血が必要であることから予約制で対応していた。またPA200の結果報告には血液内科医の判定コメントを必要とし、検査実施から報告までに時間を要していた。2022年4月に脳神経外科より頭蓋内動脈ステント適正使用指針に則り血小板凝集能検査を常時実施できるよう要望があった。同時に迅速な結果報告と予約制の廃止を求められ、装置の老朽化も重なり更新機器としてHTZを選定した。【まとめ】PA200と比較してHTZは操作が容易で、短期間のトレーニングにより科員全員が検査を実施することが可能となった。業務負担が軽減し、かつ実施可能な技師が増加したことで検査件数の増加にも対応することができた。食事の影響を受けにくい方法であることから、採血時間の制約もないため予約不要で逐次検査が可能となった。さらにレベル別で結果があらわされ、依頼医のみで解釈可能となった。検査後直ちに電子カルテに結果入力することで迅速な報告をすることが可能となった。手技の統一などの課題はあるが、本法は薬効評価に有用であると考える。今後は血小板機能評価での有用性を検討していきたい。連絡先:03-3339-2552
