講演情報

[GP42]血液像自動分析装置DI-60を用いた異常細胞検出スクリーニングと業務効率化

*広瀬 奈南1、半藤 徹也1、由利 麻衣子1、脇田 満1、上原 由紀1、田部 陽子2、堀内 裕紀1 (1. 順天堂大学医学部附属順天堂医院 臨床検査部 2.順天堂大学 健康総合科学先端研究機構次世代血液検査実用化プロジェクト)
【目的】
順天堂医院は2024年に血液像自動分析装置DI-60(Sysmex社)を導入し、業務効率化を目的に運用条件を検討している。今回、DI-60をスクリーニングに用い、異常細胞・幼若顆粒球(IG>1%)・赤血球形態異常を評価し、異常がない場合は多項目自動血球分析装置XR-9000(Sysmex社)の分画値を報告する運用方法の有用性を検討した。
【方法】
2025年4月の1週間に目視検査を実施した①血液内科・小児科検体でXR-9000で異常フラグを1つも認めなかった群(n=356)、②XR-9000でIG Presentのみの異常フラグが検出された群(n=246)、計604件を対象とした。DI-60で自動分類を行い、異常細胞(芽球・前骨髄球・異常リンパ球・NRBC)の有無、幼若顆粒球の出現率を評価した。赤血球形態はAdvanced RBC Application(Sysmex社)を用い、病的意義の高い破砕赤血球・涙滴赤血球・球状赤血球が1%以上出現するかを判定した。結果から、(A)異常細胞・赤血球形態異常がなくIG<1%でXR値をそのまま報告可能な群、(B)異常細胞なくIG≧1%またはNRBCが出現しDI-60再分類値を報告する群、(C)異常細胞や好中球異形成を認め顕微鏡目視を要する群に区分した。
【結果】
①ではA群357件(99.7%)、B群1件(0.28%)、C群0件、②ではA群215件(87.4%)、B群29件(11.8%)、C群2件(0.8%)となり、全体では572/604件(94.7%)がXR-9000機械値で報告可能であった。処理時間は従来の顕微鏡目視が1検体あたり平均約180秒であるのに対し、A群では平均約35秒に短縮できた。赤血球形態異常の出現率の判定は顕微鏡よりDI-60の方が正確であった。
【結語】
DI-60によるスクリーニング運用は血液形態検査の質を維持しつつ効率化を可能とし、捻出時間を教育・勤務体制改善や検査精度向上に活用できると考えられた。
順天堂大学医学部附属順天堂医院03-3813-3111(内線5192)