公開シンポジウム

第75回日本木材学会年次大会(仙台大会)一般公開シンポジウム

「東北の杜と木材 −これまでと、これから−」

主催: 一般社団法人日本木材学会、NPO法人才の木

後援:林野庁、宮城県、仙台市、(公財)仙台観光国際協会

日時: 2025年3月20日(木)15:00-17:30会場: 仙台国際センター 会議棟・2階「橘」

参加費:無料

申込み:不要(定員:500名)

概要:東北エリアは我が国における国産原木の一大供給地であるとともに、製材や合板を中心とした木質部材・木質材料の一大生産地なのですが、皆さんはご存じでしょうか? 今回のシンポジウムは「杜の都」仙台での開催ということもあり、東北という「地方」の木材利用を題材に、それぞれの地域が持つ特性や優位性をあらためて「見て、知って、活かす」ことの重要性や面白さを伝えることを目的に、講師の先生それぞれのお立場からお話しを頂く予定です。事前申込は不要で、どなたでも聴講頂けますので、ぜひご来場ください。

 講師1|鈴木  三男 氏(東北大学名誉教授)
  「仙台の杜3万年の木材利用史」

 講師2|大政  康史 氏(東北森林管理局局長)
  「東北国有林の現状と役割」

 講師3|渋沢  龍也 氏(森林総合研究所研究ディレクター)
  「合板(ごうはん)から見る東北の木材産業」

 講師4|足立  幸司 氏(秋田県立大学木材高度加工研究所教授)
  「東北の木材利用と私たちの暮らし」

info
<趣旨説明>
 東北エリアは我が国における国産原木の一大供給地であるとともに、製材や合板を中心とした木質部材・木質材料の一大生産地なのですが、一般にはその事実が知られているようであまり知られていない印象があります。今回のシンポジウムは「杜の都」仙台での開催ということもあり、東北という「地方」の木材加工を題材に、それぞれの地域が持つ特性や優位性をあらためて「見て、知って、活かす」ことの重要性や面白さを伝えることを目的に、講師の先生それぞれのお立場からお話しを頂く予定です。
 今回のシンポジウムのテーマには、あえて「森」ではなく「杜」という字を当てました。この「杜」には広範囲に樹木が生い茂った場所という意味があり、「森」と同じような意味で使われますが、「人が居住する場所にあっても美しく緑が保たれている場所」との意味合いもあります。「杜の都」と呼ばれる仙台市においては、市中にある屋敷林、街路樹、社寺林などから郊外の山へ、樹木によって連続的に繋がる緑の空間作りに深い思いを込めて、「杜」という単語が大切に扱われています。この思いに共感し、テーマに織り込むことで、これまで開催実績の無かった仙台市にて日本木材学会の活動を広く知ってもらうとともに、今回の開催地である東北/仙台のように「その場所」に来て、見て、知ってもらうことの大切さを広く伝えられればと考えています。
 また、テーマに「これまでと、これから」というサブタイトルを付けました。このサブタイトルには文字通り、これまでの取り組みを振り返り、これからどうしていくべきかを考えようという意味を込めております。ただ、新たな未来を開拓して大きな飛躍を生むためには、一度しっかり立ち止まって十分に考える時間も必要です。サブテーマに残した「読点」のように、このシンポジウムが、これまでの活動を振り返りつつ一度立ち止まり、それぞれの立場で考えて未来を拓く契機になって欲しいという思いも込めています。


<講師略歴>
鈴木 三男  (すずき みつお)
 福島県生まれ、千葉大学文理学部、東京大学大学院農学研究科修了、東京大学農学部助手、金沢大学教養部助教授、東北大学理学研究科教授、東北大学植物園長、東北大学学術資源研究公開センター長、日本植物園協会会長など。退職後北海道標津町に移住。専門は木材組織学、植物形態学、考古植物学。著書に『植物解剖学入門』八坂書房(1997)、『日本人と木の文化』八坂書房(2002)、『クリの木と縄文人』同成社(2016)、『びっくり!!縄文植物誌』同成社(2020)などがある。

大政 康史  (おおまさ やすし)
 愛媛県松山市生まれ。平成元年九州大学農学部林学科(砂防工学専攻)を卒業し、同年、農林水産省林野庁入省。大分西部森林管理署長、大分県森との共生推進室長・林務管理課長、林野庁技術開発推進室長・治山課長・森林総合研修所長、(国研)森林総合研究所総括審議役を経て、令和6年1月より現職。その他、栃木県南那須町(現在の那須烏山市)、パプアニューギニア国立森林研究所にも勤務。

渋沢 龍也  (しぶさわ たつや)
 練馬区生まれ。東京大学農学部、同大学院農学系研究科修了。農学博士、技術士(森林部門)、規格開発エキスパート。森林総合研究所研究ディレクター(木質資源利用研究担当)。専門は構造用木質材料。合板・構造用パネル・フローリングのJAS規格、繊維板・パーティクルボードのJIS規格、木質パネルのISO規格審議委員長等。2018年木質構造研究会の杉山英男賞、2019年Forest Products Society(米国)のWood Engineering Achievement Award受賞

足立 幸司  (あだち こうじ)
 名古屋市生まれ。農学博士。秋田県立大学木材高度加工研究所教授。専門は木材加工と木質材料。曲げ木や圧縮木材の変形メカニズムの解明から木材研究に取り組み、薬液含浸やコーティング処理による機能性材料・製品の開発に注力。さらに、伝統木工芸の技術革新や安定供給に向けた活動を行うなど、「育てる〜作る〜使う」の好循環を目指し、産学官連携による木のものづくりに取り組む。