講演情報
[2F06]福島第一1号機事故初期における環境中への核分裂生成物放出経路に関する検討
*日髙 昭秀1、岡田 英俊2 (1. 新潟大学、2. 株式会社エネルギー安全技術研究所)
キーワード:
福島第一原発1号機事故、TIP案内管、放射性物質放出経路、仮想放出回帰推定法、窒素パージ管
福島第一原発1号機では、圧力容器(RPV)内で 3/11 19時前に走行形中性子束校正モニタ(TIP)案内管が昇温に伴って座屈し、放射性物質が格納容器(PCV)内に漏洩した。しかし、下流側の原子炉建屋(R/B)内TIP室の汚染が限定的であったことから、PCV外への放出はほぼ無視できるとされた。一方、最終的な土壌汚染分布と気象モデルを組合せた仮想放出回帰推定法は、I, Cs放出に関するWSPEEDI逆算が陸風のために予測しなかった3/11 19時頃のTe放出を予測した。そこで、TIP案内管の系統図を公開図面から確認したところ、TIP校正管選択装置の乾燥用に接続された窒素パージ管が、PCV耐圧の逆止弁を介してR/B屋外の窒素供給装置に直接繋がっていることに気づいた。TIP案内管座屈直後、原子炉圧力によってこの逆止弁が破損し、放射性物質が窒素パージ管を経由して環境中に放出された可能性が高い。