講演情報

[2H16]実汚染コンクリートの表面線量率の実環境における低減とその機構

*山田 一夫1、丸山 一平2、渋谷 和俊3 (1. 国環研、2. 東大、3. 太平洋コンサルタント)

キーワード:

コンクリート、汚染、減少、セシウム、イオン交換

福島第一原子力事故により放出された放射性Csにより汚染した、太平洋から数10mに位置する現実のコンクリート構造物の表面線量率を2015年12月と2024年1月に測定したところ、8年の間に半減した。コンクリートへのCs吸着はイオン交換であるので、降雨によりCsが溶脱したとは考えにくい。そこで採取したコアの側面をエポキシ樹脂で被覆し、純水と人工海水に3か月間浸漬した。その結果、純水ではほとんど表面線量率は変化しなかったが人工海水では数割の低下が認められた。コア表面のオートラジオグラフでも汚染度の低下が確認できた。浸漬後の溶液の放射能測定でも純水では10Bq/L、海水では150Bq/kgと海水による溶出が確認できた。これは海水中のKイオンと吸着したCsイオンとの交換によるものと考えられた。汚染コンクリートは海沿いに置かれた場合、吸着した放射性Csは海塩の影響を受け、環境に再放出される可能性が示された。