開催予定のシンポジウム
開催予定のシンポジウムの情報を随時掲載いたします。掲載時点の情報であり今後変更する可能性があります。
イノベーション共創プログラム(CIP)
持続可能社会の実現には、気候変動、自然破壊、エネルギー・資源の枯渇、少子高齢化、感染症など、解決すべき多くの課題があり、そしてこれらは年を追うごとに多様化・深刻化・複雑化しています。これらの課題解決に向けた化学への期待と要求がますます大きくなっている今、化学に携わる者として我々は何をできるか、何をすべきか、組織や立場を超えて連携・協働する必要があると考えます。イノベーション共創を合言葉に、明るい未来を子孫に残すためのサイエンスとテクノロジーの話をしましょう。
シンポジウム名称
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現実の現象をコンピュータ上で再現し現実の世界へフィードバックするサイバー・フィジカルシステムが化学・材料の研究開発から実用化に至るあらゆるフェーズで必要とされています。本セッションでは、マテリアルズ・インフォマティクスを用いた材料開発に加え、製造プロセス開発やサプライチェーンのデジタル化を含めた化学・材料の研究開発から実用化に向けたシステムの活用事例について講演頂きます。
多孔性配位高分子(PCP)あるいは金属-有機構造体(MOF)と呼ばれる材料群は、金属イオンと有機系リンカーからなる規則性3次元配列に基づいた多孔性構造を有し、無限とも言える多種多様なバリエーション、そして「孔」のみならず「骨格」自身が示す特異な「機能」ゆえに、ガス吸着による貯蔵、分離、捕捉、除去、および触媒変換、高感度検出をはじめとする様々な分野における応用が期待されています。今回のセッションでは、これらの機能から実用化への取り組み、さらなる高機能化に加えて、PCP/MOFの新たな応用開拓を期待させる最新の研究成果を共有し議論することで、さらなる発展に寄与することを目指します。
AI/デジタル技術を駆使した化学合成では,用いる/得られる様々な化学的・物理的情報を基盤としたデータ駆動型プロセス設計が必須となりますが,データ処理と理論構築は現場の実験者や情報科学を専門としない研究者が最も苦手とするところではないでしょうか。本セッションでは,実験台の前に立つ研究者が自らの手でデータ駆動型合成研究を推進するために必要となるインフォマティクスの基礎とHow Toについて知ってもらうために,研究の現場でデータサイエンスツールを使いこなし,活かしている研究者から「合成実験に活かすための化学データの取扱い」に関する様々なノウハウをご解説を頂きます。
化学分野の材料開発はこれまで経験と勘に裏打ちされた実験的手法が中心的な役割を果たしてきましたが,新物質の発見から実用化までに長い時間とコストを必要としました。蓄積された多くのデータ・情報を駆使して所望の構造・材料候補を導き出すデータ駆動型科学,マテリアルズ・インフォマティクス(MI)の重要性が益々高まるなか,材料開発現場では,概念や理論の構築に留まらず,MI戦略を実践に移す段階にきました。本セッションでは,多元素化による未踏機能の開拓と材料創製インフォマティクスを主眼に,ハイスループット実験・計算やデジタル技術を駆使する,MI応用の新潮流に焦点をあて最新の研究成果について講演頂きます。
光エネルギーから電気エネルギーをつくる太陽電池,そして光情報を電気情報に変えるフォトダイオードの化学と物理。光と電気のエネルギーと情報の変換にまつわる化学と物理に関する広いトピックから,今後の方向性について深い議論を目指します。また,それらの基礎化学・物理を基盤とした産業界の取り組みについても紹介します。
2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」宣言を契機として、2030年度までの温室効果ガス削減目標を2013年度比で46%削減することとし、将来的には80%削減に向けて新たな方針も示されております。これらの目標達成のためには、人工光合成を含む再生可能エネルギーを用いた水素製造や二酸化炭素利用に加えて,二酸化炭素フリー水素製造技術、二酸化炭素の水素化や二酸化炭素の有価物への触媒的変換技術を急速に発展・成熟させ、二酸化炭素排出実質ゼロを超えるマイナスに転じるカーボンネガティブ技術が必要です。本セッションでは、これらの研究について世界をリードする研究者に紹介いただきます。カーボンニュートラルは本当に達成できるか、それを超えるカーボンネガティブ実現に向け、どんな挑戦が必要か、活発な議論の場の提供を考えております。
近年、全固体電池を代表とするポストリチウムイオン電池の研究開発が盛んに行われてきました。一方で、当面は液系リチウムイオン電池の製造基盤の強化が推進されています。本セッションではリチウム二次電池の材料に関する研究の最先端だけでなく、製造を含めたリチウムイオン電池を取り巻く環境について紹介し、比較的近い未来のリチウムイオン電池の姿について議論します。
エネルギーの最終形態である“熱”を最大限に活用することで、省エネルギーとカーボンニュートラル社会の実現に貢献できます。理論の高度化、計測技術の発展、新材料の発見など、近年の熱エネルギー工学の発展には目を見張るものがあります。本セッションでは、使う熱や廃棄される熱の量を減らす技術(Reduce)、熱を「熱のまま」再利用する技術(Reuse)、熱を「他の形態に」変換して利用する技術(Recycle)、すなわち、熱の3Rを中心に、この分野で活発に研究を展開されているアカデミアや企業の先生方にご講演を頂くことで、この分野の最新動向、課題、将来の展望などについて広く議論します。
低分子医薬品では満たされなかったニーズを満たす新時代の医薬品として期待され、抗体医薬や核酸医薬そして細胞などのバイオ医薬品の新薬上市が近年急増している。本セッションでは、これらバイオ医薬品の開発・生産を支える先端材料や技術に関する化学とバイオ医薬品の安全性評価や社会実装に関して議論します。
各種デバイスを活用した健康データの記録や、人工知能(AI)や機械学習の活用による診断・治療の支援を行う技術開発は、近年長足の進歩を遂げ大きな注目を集めています。これらデジタルヘルスケア技術は、免疫状態、心拍数や体温、血中酸素濃度、腸内細菌叢などの生体情報を非侵襲的に計測するセンサーや、そのデータをリアルタイムに解析する手法の開発が重要な要となってきました。また生成される大量のデータは、ヒトの健康情報、モニタリングデータ、診断結果、治療効果など、その膨大な量と多様な情報を活用することで、個々の健康管理や医療プロセスの向上を通じてよりよい地域社会に貢献すると期待されています。本セッションでは、これら最新の技術やその事業化、地域や行政とも連携した社会実装に向けての取り組みについて話題を提供します。
近年、疾患の分子レベルでの理解により新しい治療法の発展がもたらされ、従来の医薬品では対応が難しかったターゲットに対する医薬品の開発が進んでいます。また、既存の医薬品の見直しによる新たな治療戦略が展開されています。その背景として、創薬モダリティの選択肢の著しい増加や、従来の医薬品に対する画期的な開発手法の確立等が挙げられます。このセッションでは、創薬における新たな戦略を通じて世界に躍進するバイオベンチャーの方に講演をお願いし議論します。ソフトクリスタルは規則正しい結晶構造と周期構造を持つ安定な構造体であり、結晶性を保ちながらも、特定の弱い刺激によって容易に構造変換や相転移を起こすという特異的な性質を持ちます。その特性の実験的評価方法、理論計算・機械学習による評価方法が提案され始め、結晶エンジニアリングや機能性フィルムなどの応用も模索され始めています。本セッションでは、分子性結晶材料における最先端の基礎研究・応用研究を展開しているアカデミア・企業の先生方にご講演をいただくことで、この材料の新たな応用展開の可能性を探ることを目指します。
石油化学と共に発展してきた高分子材料は、これまでの人間の豊かな暮らしを形作ってきた半面、近年では温室効果ガス排出やマイクロプラスチックといった新たな課題をも生み出す存在と認識されるようになりました。これらの課題に対し近年、樹脂を再利用するための技術や、特定の環境下で分解性を有するような新しい高分子材料、CO2やバイオマスなど非石化資源を原料とする新規材料等、様々な視点に基づく研究成果が続々と生まれており、高分子科学の大転換期を迎えています。本セッションでは、サステナブルな高分子材料の研究開発やその成果の社会実装に関する最前線について紹介すると共に、これからの高分子科学の在り方について議論します。
中長期テーマシンポジウム
中・長期戦略に基づくシンポジウムを春季年会実行委員会と学術研究活性化委員会の合同企画として継続的に実施しています。 本年会では次の6テーマを実施予定です。
シンポジウム名称 |
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「化合物ー生物ー環境の相互作用を読み解く科学」と題する5年間の企画の第4回シンポジウムです。今回もケミカルバイオロジーのトップ研究者から最新の話題提供をいただきます。さらに、世界的に脚光を浴びる環境DNA技術について、生態系の持続的利用や環境保全の視点から、その動向を紹介します。参加者は、最先端の研究情報に触れ、新たな共同研究の可能性について議論できます。
分子が複雑な集合体を形成することにより新たな分子機能の発現を目指す―それが次世代分子システムであり,そのフロンティアでは,従来の分子単体での機能に特化した化学では到達できない新規機能物質の開発に対して分野横断的な新たなアプローチが展開されている。分子を組み合わせることで1+1以上の新たな機能を創出するためには,それらの協奏的連動が不可欠である。本シンポジウムでは,協奏的機能発現に重要な基本的なメカニズムとその協奏性に関して議論を深めたい。特に溶媒との相互作用のように分子システムに外部から影響を与える過程との関係は重要であり、独自の計測・解析・合成手段を用いる研究者を一堂に集め,最新の研究成果を元に次世代分子システム化学の将来展開を討論する。
人工光合成研究は、水および二酸化炭素(CO2)の変換が主たる対象となってきたが、現代のアンモニア(NH3)の大量合成にともなうエネルギー消費やCO2排出の懸念から、窒素分子の活性化と変換も重要な課題となっている。太陽光水電解や人工光合成などで得られるクリーンな水素(H2)を原料とするグリーンアンモニア合成、さらには光触媒等を用いて直接N2分子からNH3を合成する革新的技術などが盛んに研究されている。本企画では、当該分野におけるトップランナーの研究者にご講演を頂き、その最新動向を共有し議論することを目的とする。
高度IT機器に代表されるように、我々の社会を支えている多くのテクノロジーは、新材料の発見、開発により実現しており、材料技術の発展は人類に多大な恩恵をもたらしてきた。しかしながら、従来材料を用いた電子・エネルギーデバイスの開発は、性能、資源消費などの観点から限界が近づいており、新材料革命世代に突入している。こうした技術革命の実現には、低次元マテリアルとその特異機能の活用が重要であり、新しい化学的合成戦略が必要となる。本企画においては、低次元マテリアルの合成、集積、物性、デバイスに関わる第一線研究者を招き、低次元マテリアルの未来像について議論する。
多量の計算・実験データに基づくマテリアルズ・インフォマティクス(MI)による有機・無機機能材料の開発研究に期待が集まっている。特に多彩な化学構造と集合体構造を示す有機材料(高分子、分子)では、発光、触媒、光電変換、熱伝導、機械的強度といった機能を最大限発揮させるために多くの検討が必要なため、MIによるアプローチが有効である。本企画では、各分野の計算、実験研究において先端を走っている研究者を講演者として招き、今後の化学分野におけるMIの発展に向けた課題を議論する。
本企画では、独自の分子設計や合成法を駆使し、狙った場所に狙ったタイミングで元素や分子の精密序列配置を行うことで、これまでにない機能の発現を目指した最新の研究を講演していただく。高分子、生体分子、ナノクラスター、酸化物など多彩なナノ物質群を取り上げ、サイズ的・時間的階層構造の視点に立脚し、各階層構造間の協調性・連動性に着目した材料開発と機能制御に向けた実りある討論を行う。