セッション詳細

[3LS-02]香辛料が支える油脂の安定性 — ラー油の光酸化研究から見えたこと—

2026年8月28日(金) 12:00 〜 12:50
C200講義室(川内C棟2F)
座長:仲川 清隆(東北大学大学院農学研究科 食品機能分析学分野)

講師:中川 有理(エスビー食品株式会社)
油脂は食品のおいしさやコク,香りの広がりに寄与する一方,保存や加工の過程で熱や光による酸化の影響を受けやすい性質も有します.特に光酸化は遮光容器による対策が基本とされますが,実際の食品設計や流通では十分な遮光条件を確保することは容易ではありません.
 本セミナーでは発売から60年を迎えるラー油に着目し,お話いたします.
 主原料の焙煎ごま油は光酸化しやすい油脂の一つであるにもかかわらず,ラー油は長年にわたり品質を保ちながら親しまれてきました.その理由は,特定成分の抗酸化機能に依存するのではなく,油脂・香辛料・加工条件の組み合わせにより,熱酸化と光酸化が進みにくい“状態”を作り出している点にあります.香辛料は風味付与に加え,安定性や風味保持にも寄与する可能性があります.
 本研究で得られた知見は,酸化しにくい食品設計や賞味期限の延伸につなげることができ,結果としてフードロスの低減にもつながると期待しています.