講演情報
[05バ-KL-1]筋協調からとらえる運動の共通性と相違性多自由度運動制御の統一的理解を目指して
*萩生 翔大1 (1. 京都大学)
<演者略歴>
2011年 京都大学総合人間学部を卒業。2016年 京都大学大学院人間・環境学研究科にて、人間・環境学博士の学位取得。2016年 東京大学大学院教育学研究科にて、日本学術振興会特別研究員(PD)。2020年 京都大学大学院人間・環境学研究科の講師を経て、2022年より同研究科の准教授。
2011年 京都大学総合人間学部を卒業。2016年 京都大学大学院人間・環境学研究科にて、人間・環境学博士の学位取得。2016年 東京大学大学院教育学研究科にて、日本学術振興会特別研究員(PD)。2020年 京都大学大学院人間・環境学研究科の講師を経て、2022年より同研究科の准教授。
ヒトの運動は冗長な自由度を有している。そのため、個性豊かな多様な運動が生み出されるが、一方で、この多様性が運動の普遍的な理解を複雑にする側面もある。そういった中、筋活動の制御面に焦点を当てると、異なる動作や個人間の共通性が見えてくることがある。筋は運動制御系の最終出力器官であり、筋電図によるその活動の計測は、運動の制御過程を理解するための重要な手法の1つである。しかし、特定の運動に関与する多数の筋から得られる膨大なデータを、どのように解釈すればよいかという問題が浮上する。この問題に対処するために、筋間の協調性に着目した考え方が浸透しつつある。例えば、歩行動作に関与する多数の筋の活動時系列は一見複雑であるが、個々の筋電図間の関係性を統計的に分析すると、その信号は歩行の相に対応した少数の活動パターンの組み合わせとして説明することができる。こうした共通の活動パターンを持つ筋のまとまりは、筋シナジーと呼ばれている。こうした手法により、運動を簡略化してとらえ、運動制御の共通性や相違性を定量的に示すことが可能となる。本講演では、筋協調の観点から異なる運動や個人における運動制御の共通性と相違性をとらえた研究を紹介しながら、筋活動の協調構造が持つ理由や意義、今後の可能性についても議論したい。
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