講演情報

[02社-KL-1]身体活動と社会経済的要因現状と格差対策へのヒント

*鎌田 真光1 (1. 東京大学)
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<演者略歴>
2006年4月 身体教育医学研究所うんなん(島根県雲南市立)研究員
2013年3月 島根大学大学院医学系研究科 博士課程修了 博士(医学)
2020年11月 東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻 健康教育・社会学分野 講師
人々の身体活動量は収入や学歴などの社会経済的要因の影響を受けている。その影響の方向性は身体活動のドメイン(余暇・仕事等)で異なるほか、「座って非活動的な時間」はデスクワーク中心のホワイトカラー職種で顕著である。子どもに目を向けると、未就学児と小学生では世帯収入とスポーツクラブ・運動部の加入割合の関連が示されている。
 このような社会経済的要因による行動の格差は、介入によっても助長され得る(Intervention-generated inequalities)。往々にして、情報提供やメディア・キャンペーンなどの“下流”の介入単独では格差拡大につながりやすく、格差縮小には、環境整備や職場ぐるみの組織的対策など“上流”の介入や、社会経済的に不利な状況にある集団に焦点を当てた介入など様々な取り組みが必要と考えられている。
 本講演では、演者らが行ってきた具体的な介入の事例として、地域の運動実施率向上に世界で初めて成功したクラスター・ランダム化比較試験(島根県雲南市)、主観的家計状況に基づく身体活動格差の縮小に成功した多面的地域介入(神奈川県藤沢市)、プロ野球パ・リーグの公式アプリ「パ・リーグウォーク」で利用者の世帯収入や学歴によらず歩数が増加した知見なども紹介し、今後必要となる対策を考える機会としたい。

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