講演情報
[スポーツ文化-B-10]競技スポーツでのパワハラ予防をテーマとしたスポーツ・インテグリティ教材の開発と評価(政)
*安永 太地1、塩田 真吾2 (1. 早稲田大学、2. 静岡大学)
競技スポーツでは暴力,ハラスメント,パラドーピングなど様々な問題が発生しており,スポーツ・インテグリティの重要性が指摘されている。国内のトラブルの実態を鑑みると,競技スポーツにおける指導者と選手の強い主従関係や指導と嫌がらせの境界線の曖昧さによりパワハラ問題が顕著になっている。こうした問題の背景には,単に指導者の倫理観の欠如だけでなく,アスリートが戦略的・非戦略的にパワハラを容認する状況もあり,指導者が自らの行為の不適切さに気づきにくい状況が影響している。そのため,指導者は常に適切な指導を心がけていても,日常のコミュニケーションを通じて自身の指導が不適切であることを自覚することは困難であると考えられる。こうした課題に対処するため,教育の重要性がたびたび指摘され,教材開発やカリキュラム構築が推奨されてきたものの,具体的な実践手法や効果測定の研究が十分に行われているとは言い難い。また,多くの研修では,危険性の理解を重きに置いた知識伝達型であり,指導者が自身の指導方法を内省する機会や第三者との意見交流する機会は限られている。本研究では,安全人間工学のサボタージュ分析を参考に,指導者がハラスメントを発生させてしまう場面を強制的に想像し,これまでに気づかなかったハラスメントの発生要因や指導の問題点を発見することを目指した教材を開発した。本報告では,教員を目指す大学生を対象に試験的に行った研修の成果を報告する。
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