講演情報
[スポーツ文化-B-06]「スポーツする身体」と性別役割意識の関連性(社)体育・スポーツ科学系大学生を対象として
*程 文静1、山田 理恵2、川西 正志3、森 克己2 (1. 鹿屋体育大学大学院、2. 鹿屋体育大学、3. 北翔大学)
現代日本社会ではジェンダー平等が推進され,職場や家庭での性別による役割分担に対する考え方は多様化しているが,スポーツ領域は,男女の壁は根強く維持され続けてきたこともうかがえるという指摘もなされており(伊藤, 2019),特定のスポーツが男性性または女性性とみなされることも少なくない。しかしながら,実際の意識変化に着目した研究は,ほとんど見受けられない。そこで,本研究では,体育・スポーツ系の大学生のスポーツ(武道を含む。以下同様)の経験と身体の自己受容度及び性別役割意識の関連性を検討し,スポーツが個人の身体自認と性別役割意識に及ぼす影響について考察することを目的とした。研究方法としては,2つの体育・スポーツ系の大学・学部生569人に対して2024年5月に質問紙調査を実施し,有効回答は219人(回収率38.5%:男性55.3%,女性44.7%,平均年齢18.9歳)であった。スポーツ実施状況(競技レベル,スポーツ継続年数等),身体の自己受容度(Tylka et al., 2015),性別役割意識のうち男性性・女性性(Bem, 1974)について尋ねた。スポーツ実施状況では,スポーツを長年続けている者,都道府県大会出場レベル以上の者がともに過半数を占めた。性別を独立変数に,競技レベル,身体の自己受容度および性別役割意識を従属変数としてt検定を行なった結果,競技レベルに男女間で有意差が認められたが,身体の自己受容度及び性別役割意識については統計的に有意な差が認められなかった。そこで,競技レベルを高い群と低い群に分け,独立変数として,身体の自己受容度および性別役割意識を従属変数としたt検定を行なった結果,性別役割意識のうち男性性については統計的に有意な差が認められ,競技レベルが低い群よりも高い群の方が男性性意識が顕著に高いことが示唆された。
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