講演情報

[スポーツ文化-B-18]サーファーのライフスタイル実践をめぐる地域住民との軋轢と合意(社)千葉県X町における移住サーファーの有機農業の事例から

*宮澤 優士1 (1. 筑波大学大学院)
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現代の日本社会において、人口の減少によって生じる課題は無視できないものであり、特に農山漁村地域では顕著である。スポーツ科学領域において、人口減少問題は主に、ツーリズムを通して解決が図られている。こうした問題を筆者の関心であるサーフィン文化に関連付けて考えると、多くのサーファーが沿岸地域での生活に憧れ、移住を試みてきた。彼ら/彼女らの憧れは、朝起きてすぐに海が見える生活、日々のストレスから解放される自然豊かな環境、そしていつでもサーフィンができるという究極の自由への渇望から来ている。その結果、都市部や内陸部から沿岸部へ、新たな波と新たな生活を求めて移住するサーファーが増え続けている。
 サーファーの沿岸地域への移住は、地域の課題を解決する可能性として、沿岸部で人口減少の課題を抱える地方自治体にとって魅力的に映る。しかし、このようなスポーツ実践者の地域移住を手放しで称賛することには注意が必要である。サーファーが都市から移住し生活する際、しばしば地元住民との軋轢が生じる。この軋轢は、地元住民と新たにやって来たサーファーの間での生活習慣、利用する海岸線の場所選び、そして地域の資源へのアクセス方法の違いから生じることが多い。
 そこで本発表では、サーファーが地域に移住し、自らの理想の生活を追求する際に、地域住民との間で起こり得る軋轢と合意について分析する。具体的には、千葉県沿岸部のX町に移住したサーファーが地元住民から土地を借り受け、有機農業を行った事例を取り上げる。農業の担い手が減少する地域にとって、移住者による農地の借用は有益なように見える反面、そこでは軋轢も確認できる。サーファーはなぜ有機農業にこだわり、農地の借用をおこなうのか。そこではどのような軋轢が生じているのか。本研究は、資料分析、インタビュー、参与観察からなるフィールドワークを採用し、上記の問いに基づき分析と記述を行う。

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