講演情報
[競技スポーツ-A-08]ドロップジャンプテストを用いたスプリンターのコンディション管理の可能性(バ)
*明石 啓太1、梶谷 亮輔1 (1. 環太平洋大学体育学部)
下肢筋群におけるSSC運動(Stretch-shortening cycle movement)の遂行能力はスプリントパフォーマンスとの関連性が指摘されており、スプリンターにとって重要である。このSSC遂行能力の評価方法としてドロップジャンプ(以下、DJ)が挙げられる。DJは使用する台の高さを変化させることで負荷を調整し、異なる条件下でのSSC遂行能力を測定できる。本研究では大学生スプリンターを対象に、試合期の継続的なDJ測定から、SSC遂行能力の変動とその要因を分析することで選手のコンディション把握が可能であるか調査することを目的とした。対象は大学生男子スプリンター26名で、2024年4月24日以降、週1回のDJ測定を実施した。DJ測定にはフォースプレート(AMTI製)を用い、台高は30 cm(DJ30)と60 cm(DJ60)の2種類とした。得られた地面反力のデータから接地期の身体重心速度と発揮パワーを算出し、DJ指数、跳躍高、接地時間、最大地面反力、最大パワーなどを抽出した。これらのうち、DJ指数、跳躍高、接地時間について測定日を独立変数とした回帰係数を算出し、DJ指数の回帰係数が大きかった群(向上群)と小さかった群(低下群)に分類した。結果として、測定期間全体におけるDJ30でのDJ指数は2.25±0.48 m/s、跳躍高は35.4±5.8 cm、接地時間は0.159±0.019 sであり、DJ60でのDJ指数は2.19±0.54 m/s、跳躍高は36.4±6.5 cm、接地時間は0.170±0.023 sであった。また、DJ30における向上群は跳躍高の回帰係数が大きく、低下群は跳躍高の回帰係数が小さい傾向にあった。よって、比較的負荷の低いSSC運動においてはコンセントリック局面の力発揮を維持・改善することがコンディション維持に必要であると考えられる。
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