講演情報

[競技スポーツ-A-27]スレオニンの単回摂取が中距離走パフォーマンスに及ぼす影響(生)

*寺島 千穂1、島 孟留2、鍋倉 賢治1 (1. 筑波大学、2. 群馬大学)
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食やサプリメントからの栄養摂取は、アスリートのパフォーマンスを高める1つの手段である。特に、タンパク質は運動前後の摂取による筋合成や疲労回復への貢献に注目が集まり(Churchら、2020)、アミノ酸などが利用されている。必須アミノ酸の一つのスレオニンは、肝臓の脂質代謝の促進や免疫機能の維持などの生理機能を有する(Tangら、2021)。近年、動物実験で、スレオニンの摂取制限により糖代謝が促進されると報告された(Yapら、2020)。本研究では、スレオニンの単回摂取が、乳酸性作業閾値の走速度(vLT)や中距離走テストに及ぼす影響を検討し、中距離走パフォーマンス発揮に係るアミノ酸摂取に関する知見を得ることを目的とした。本研究の仮説はスレオニンの単回摂取により、中距離走パフォーマンスが阻害されるとした。本研究では、健康な大学生10名(男性:7名、女性:3名)を対象とし、スレオニン15 mg/kg(1日の摂取目安量)を含む水もしくはプラセボ水を100 ml摂取させ、30分の安静後に運動を課した。全被験者にスレオニン摂取とプラセボ摂取の2条件を課した。実験Ⅰ:漸増負荷走行テストを行い、vLTを比較した。実験Ⅱ:中距離走テスト(男性:1500 m、女性:1000 m)の成績や血中乳酸値、運動時の心拍数を比較した。その結果、スレオニン摂取の有無によるvLTの変化はなかった(プラセボ条件11.7±1.6km/h、スレオニン条件11.8±2.3 km/h)。また、中距離走テストにおけるゴールタイムもスレオニン摂取の影響を受けなかった(プラセボ条件338.8±41.4秒、スレオニン条件340.9±38.5秒)。以上より、スレオニンの単回摂取による中距離走パフォーマンスへの影響はみられなかった。そのため、1日の摂取目安量であれば、スレオニン摂取が中距離走パフォーマンスを阻害しない可能性が示唆された。

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