講演情報

[競技スポーツ-A-32]バドミントンダブルスの守備的局面における注視行動の検討(心)

*國部 雅大1、吹田 真士1 (1. 筑波大学)
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バドミントン競技では、相手からのショットに対して素早い反応が求められ、視覚情報が重要な役割を有していることが考えられる。これまでの研究では、主に1対1の対人場面をもとに相手からのショットに対する選手の注視行動が検討されてきたが、コート内の選手間の関係がより複雑になるダブルスにおいて、ペアを組む2名の注視行動の特徴を検討した研究はみられない。そこで本研究では、大学男子バドミントン選手を対象に、ダブルスの守備的局面において、相手からの速いショットに対して返球する際にみられる注視行動の特徴について、競技レベル間で比較検討することを目的とした。大学バドミントン部に所属し主にダブルスを行うことが多い男子選手8名が参加した。全国大会の団体戦でのレギュラー出場経験のある4名を上位群、出場経験のない4名を下位群とし、各群内で2ペア(計4ペア)を組んだ。参加者のペア2名はそれぞれ眼球運動測定装置を装着し、バドミントンコートにて試合形式のダブルスラリーを5分間行った。各ペアの相手(協力者)はすべて同じペアであり、競技レベルは上位群に相当する者であった。本研究では、ラリー中のショットのうち相手からのスマッシュを分析対象とした。相手ショットのインパクト時点を基準として、インパクト直前の注視位置および注視時間について分析した。その結果、インパクト直前には、いずれの選手も相手の体(主に頭部)からラケット-シャトルのインパクト位置へと注視位置を移動させ、インパクトの瞬間にはインパクト位置を注視していた。その中で、インパクト直前の注視時間は、上位群(0.14±0.03秒)が下位群(0.26±0.10秒)に比べ有意に短かった(p<.05)。以上のことから、ダブルスにおいて優れた選手は相手がショットする直前まで相手の身体部位などを注視し、ショットの種類やコースに関する予測情報を得ていた可能性が考えられる。

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