講演情報
[競技スポーツ-A-13]フィギュアスケートのトウ系およびエッジ系ジャンプにおける足底圧の比較研究(バ)
*ガンスフ マラルエレデン1、桜井 伸二2 (1. 中京大学大学院 スポーツ科学研究科、2. 中京大学 スポーツ科学部 スポーツ教育学科 教授)
【目的】フィギュアスケートのジャンプには6種類の踏切課題があり、これらはブレードの使い方によって2つの踏切系統に大別される。一つは、内外側にあるエッジに乗って急激に旋回運動をする勢いで跳び上がるエッジ系であり、一方は、先端部のトウピックを氷面に突いて跳び上がるトウ系である。Sakurai et al(1999)の報告から、踏切系統によって跳躍高の獲得メカニズムが異なることが示唆されるが、力学的な差異は未だ明らかにされていない。また、氷上滑走において体重移動の制御能力は、推進力の獲得および技の実施に係る重要な技術であり、足底荷重はパフォーマンスの指標となりえる。これらの背景から、本研究はフィギュアスケート競技のトウ系およびエッジ系における踏切足の足底荷重を定量化することにより、踏切系統と足底圧の関係を検討することとした。【方法】女子選手9名の履き慣れたスケート靴内にインソール型足底圧計測センサPedar(Novel,Germany,100Hz) を装着し、1回転ループ(エッジ系,LO)および1回転トウループ(トウ系,T)の成功試技を各1回ずつ計測し、対応のあるt検定を用いて比較した。【結果・考察】足底荷重最大値は、LOが2.7±0.4N/ BW、Tが1.4±0.2N/BWとエッジ系が有意に大きい値を示した(p<0.01)。また、LOでは後足、中足、前足部の順に荷重移行が見られたが、Tは後足部荷重のまま踏み切っていた。内外側荷重比については、どちらも内側(親指側)への荷重が大きい傾向がみられた(p<0.01)。この結果から、どちらの踏切においてもアウトサイドエッジを氷面に強く押し付けて踏み切るために、足底内側の荷重を高めることで身体の傾斜と逆方向のモーメントを生成し、身体バランスを保持していることが示唆された。また、その程度はエッジ系がより大きいと考えられた。
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