講演情報

[競技スポーツ-A-15]女子剣道選手の技術傾向(方)左上段の構えに着目して

*瀬川 剛1、権田 望弥乃2 (1. 東京女子体育大学、2. 順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科)
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剣道は有効打突を競い合う攻防一体型の対人競技である.打突動作を運動学的に捉えると「構え→攻め→打突→動作」の一連の動作が完結することにより,その内容が有効打突として評価される.構えは次の運動内容を規定し、打突動作に影響を及ぼす重要なものである.現代剣道で一般的に用いられている構えは中段の構えと上段の構えである.中段は,全ての基礎となる構えで,対人的技能として攻防の変化に応じる際に最も都合が良いとされる.一方,上段は相手に対して,身を捨てて打ち下ろすような強く大きな気持ちで堂々と構え,積極的に攻撃しようとする,技術の上でも精神力においても攻撃的な構えであり,火の構えとも言われている.
 剣道指導書では基本的に中段からの攻め,打突の内容を扱うものが多く,上段について詳細に書かれているものは少ない.先行研究でも上段の一動作に着目したものが殆どでその技術について包括的に捉えたものは見られなかった.こうした技術を明らかにする手法として,ゲームパフォーマンス分析がある.剣道においてもゲームパフォーマンス分析はこれまで数多く行われているが,全て中段を対象とした研究であり,上段を対象にしたものは管見の限り見つからなかった.また,筆頭発表者は男女両選手の発現する打突及び攻め方の比較・検討した研究の中で,女性特有の技術傾向を明らかにしている.この研究は中段を対象としたものだが,上段においても男女で技術傾向に違いがあるはずである.特に,女子の上段については筋力面や技量面において懸念もあり,その技術傾向を客観的に表す必要性が高いと考えられる.
 そこで本研究では全日本都道府県対抗剣道大会(男女)の上段選手の試合を対象として,男女両上段選手の発現する打突を比較・検討を行うことで,女子トップの上段選手特有の技術傾向を明らかにし,女子上段選手への指導の一助となる有益な知見を得ることを目的とする.

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