講演情報

[競技スポーツ-A-16]2020東京五輪空手組手競技における試合終了時の得点差に着目したパフォーマンス構造モデルの検討(測,方)

*大徳 紘也1、西山 哲成2、大石 健二2 (1. 日本体育大学大学院、2. 日本体育大学)
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空手組手競技は攻撃と防御技術により試合が展開され、有効な技を決めることによる得点数で勝敗を競うスコア競技である。2020年東京オリンピックにおいて初めて正式種目として実施された。勝利のためには相手よりも多く得点し、試合終了時の得点差を考えた試合内容が重要と考えられる。また、組手競技における先取点は、同点終了の場合に先取点を獲得していた選手が勝者となるルールがある。大徳ら(2022)の報告により、国際大会における勝利試合の70%が先取点を獲得しており、先取点獲得は勝利に強く関連することが明らかとなった。先取点に加え得点差の特徴を明らかにすることで、組手競技のパフォーマンス構造モデルの作成に役立つと共に、得点の戦術に関するコーチングを実践する場面において、具体的なプロセスをイメージしたコーチングが可能になると推察できる。そこで本研究は、勝率の高い選手における試合終了時の得点差に関する特徴について分析を行い、勝利獲得を目的としたパフォーマンス構造モデルの作成に有効な知見の獲得を目的とした。分析対象は、東京オリンピックにおいて実施された、組手競技全132試合の内、判定及び反則決着、途中棄権を除いた118試合とした。各試合の得点数に関する情報は、東京オリンピック公式記録を用いて分析を行った。本研究の結果、女子3階級の試合においては、4点差が56試合中15試合(27%)と最も多かった。男子3階級の試合においては、2点差が62試合中16試合(26%)と最も多かった。得点差と試合時間の関係について、3分間の試合の内2分間までの得点差が2点以内の試合が、男女共に80%以上と高い割合であった。試合終了時の得点差は、試合終盤の展開によって変動する傾向が強いことが考えられ、試合中盤までの得点差を考慮した逆転のための得点及び追加点のための得点獲得に関する作戦を組み立てることが重要と考えられた。

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