講演情報
[競技スポーツ-A-34]ハンドボールの防御における戦術指導の事例(方)
*宮代 花菜1、會田 宏1 (1. 筑波大学)
本研究の目的は、防御における積極性や予測性を習得することをねらいとしたコーチングを3ヶ月間行い、6:0防御における個人やグループの防御行動の変化を、記述的ゲームパフォーマンス分析を用いて事例的に明らかにすることであった。対象チームは、A地域男子学生春リーグで6部に所属し、春リーグ後5部へと昇格するI大学であった。春リーグ終了後のチームミーティングにおいて防御の課題が多く挙がった。3ヶ月後に行われる秋リーグでは、6:0防御を基本としながらも、予測的で積極的な防御によって相手のミスの誘発、速攻機会の創出を目指した。課題解決のために行ったトレーニングの1つ目はパスゲームであり、アタッカーとの間合いを詰める積極性やパスインターセプトする予測性の養成をねらった。2つ目は手や腕を制限した状態での1対1の防御であり、個人技術の向上をねらった。3つ目は3対3防御であり、防御ラインを形成し、それを突破させない連携力の養成をねらった。秋リーグにおいて対戦相手のセットアタック局面における攻撃成功率は高まり(春34%、秋39%)、ミス率も高まった(春11%、秋13%)。防御行動を見ると、パスレシーバーへの先取り行動は1対1場面(春32%、秋49%)、2対2場面(春20%、秋35%)のいずれにおいても有意に増加し、ゾーン防御行動も1対1場面(春76%、秋85%)、2対2場面(春58%、秋65%)いずれにおいても有意に増加した。さらに、2対2場面における連携行動も有意に増加した(春33%、秋44%)。これらの結果は、リーグの昇格によって対戦相手の競技力が高まったため、相手の失点を阻止する割合は低くなったが、相手のアタックに備える先取り行動や連携行動が養成できたこと、積極性や予測性を養成するためのコーチングが一定の成果を挙げたことを示していると考えられる。
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