講演情報

[競技スポーツ-A-39]日常的なトレーニングに対する粘膜免疫の変化(生)6日間の経時的変化

*髙階 曜衣1、城間 修平2 (1. 日本大学商学部、2. 日本大学文理学部)
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スポーツ選手は、競技力を高めるために、日々トレーニングに励んでいる。数週間から一年間におよぶ長期トレーニングに着目した研究では、トレーニング強度が高まる時期に上気道感染症の罹患率が高まることが明らかになっている(e.g. Gleeson & Walsh, 2012)。上気道感染症への罹患により、選手の競技パフォーマンスは低下すると指摘されている(e.g. Pyne et al., 2005)。そのため、日常的に実施される高強度トレーニングについて、免疫力に関する知見を蓄積することが重要である。スポーツ現場では、1週間を一つのサイクルとして、トレーニングが計画されることが多い。そこで本研究は、日常的に行われている6日間のトレーニングに着目し、粘膜免疫の経時的変化を明らかにすることを目的とした。
 対象は、A大学男子バスケットボール部に所属する選手とし、データに不備等がない17名を分析対象とした。6日間連続で粘膜免疫の指標である唾液免疫グロブリンA(sIgA)を測定した。評価には、従来のELISA法ではなく、より簡便に測定できるCUBE Reader法を用いた。測定は、各日のトレーニング実施前の安静時に行った。
 分析の結果、トレーニング1日目のsIgAは、他のすべてのトレーニング日と比べて有意に高い値を示した(p<0.01)。トレーニング2日目と6日目は、トレーニング3日目、4日目、5日目と比べて有意に高い値を示した(p<0.01)。その他の比較では、有意差は認められなかった(n.s.)。
 本研究より、トレーニング1日目は、2日目以降と比べて最もsIgAの値が高く、病原体に対する抵抗性が高い状態であることを明らかにした。また、特筆すべきは、6日目のsIgAが3日目や4日目、5日目よりも高い値を示したことである。この結果は、単に日々のトレーニングの蓄積による影響だけでない可能性があることを示唆している。

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